バチカン コロナ禍、高齢者直撃 オーストリアから


地球だより

 新型コロナウイルスは世界でその猛威を振るっている。バチカンのローマ教皇庁も例外ではない。高位聖職者の中でもコロナ感染で犠牲になったケースが報じられている。高齢者集団バチカンではコロナの感染危険はどの国より高い。84歳のフランシスコ教皇はイラク訪問前にコロナワクチンの接種を受けたばかりだ。

 世界の教会は昨年からコロナ感染の予防のため、閉鎖に追い込まれたり、礼拝参加数を制限する一方、オンライン礼拝を実施している。教会での婚礼や洗礼の式典といったイベントは減少。同時に、信者の献金も急減してきた。2020年の決算によると、バチカンの昨年度歳入は前年度比で25%前後、減少したという。

 バチカンニュースによると、バチカンの本年度暫定予算は、歳入2億6040万ユーロ、歳出3億1010万ユーロで約5000万ユーロの赤字が見込まれている。そのため、赤字分は財政準備金で補填する一方、歳出約2550万ユーロをカットするなど、対策に苦慮している。暫定予算には約4700万ユーロと見込まれる「聖ペテロの献金」も含まれている。ちなみに、大きな支出先は、世界に駐在するバチカン外交官の活動費で4100万ユーロ、世界宣教関連費2500万ユーロだ。

 聖職者の未成年者への性的虐待が絶えず、犠牲者への賠償金の支払いで教会運営が厳しくなっている教会が少なくない。米教会では教会建物を売り出す教区も出てきている。世界の教会で最も豊かな教会と言われるドイツ教会でもケルン大司教区で信者の脱会が加速している、といった具合だ。

(O)