音楽の都にもアジア・フォビア?
地球だより
音楽の都ウィーンには連日、中国人旅行者が溢(あふ)れていたが、中国湖北省武漢で新型コロナウイルスが発生して以来、目に見えて少なくなってきた。
ウィーンには数万人の中国人が住んでいる。中華レストラン従業員、アジアレストラン経営者やビジネスマン、留学生なども多数いる。
市内には伝統的な日本レストランは1軒しかないが、中国レストランは市内の至る所にある。昼食時には労働者やサラリーマンが安価なランチを楽しむ。
平和時には、中国人が多いこと、中国レストランが多数あることに不満や反発はなかったウィーン子だが、中国武漢で新型コロナウイルスが発生して以来、市内に住む中国人への風当たりが厳しくなってきたのを感じる。
嫌がらせは中国人だけが受けているのではない。
オーストリア人にとって目の前を歩く人間が中国人か、韓国人か、日本人かの区別は容易ではない。彼らにとって明らかな点は「アジア系人間」というだけだ。だから、「中国人」ではないアジア系の市民が武漢の新型コロナウイルスの感染の疑いを受け、時には嫌がらせを受ける羽目になる。
地下鉄内でアジア系乗客がくしゃみでもすれば、傍(そば)に座っていた乗客は直ぐ立ち上がって席を離れる、といったシーンは最近は頻繁に目撃される。
これは「中国人フォビア(嫌い)」ではなく、「アジア人フォビア」というべきかもしれない。
(O)