ゴーン氏に冷ややかな視線
地球だより
フランスのモンシャラン欧州問題担当副大臣は、会社法違反などの罪で起訴、保釈中のカルロス・ゴーン元日産自動車会長が昨年暮れに日本から無断国外脱出し、レバノンに逃れたことについて「レバノン・日本間の問題でフランス事案ではない」ことを強調した。
その前日、パニエリュナシェ経済・財務大臣付副大臣が、フランス国籍を有する同被告がフランスに入国した場合、「送還されない」と主張。モンシャラン氏の発言は、違法出国した人物を保護するのかという批判が噴出したことへの火消しだったとも見られている。
パニエリュナシェ女史は「法を超越する者はいない」と念を押したが、政治家や高級官僚を生む国立行政学院(ENA)出身で、議員経験なしに閣僚入りした彼女らしい国民の気持ちを十分読まない不用意発言だった。つまり、フランス人の多くが強い不快感を持って受け止めているということだ。
仏大手金融機関の経営幹部で、ゴーン被告と同じエリート校の卒業生であるリステール氏は「ブラジル生まれのレバノン難民が、フランスで高等教育を受けたことで経営の神様扱いされたが、日本の法律を無視し逃亡したことで転落は確実。公益性重視のエリート教育から何も学ばなかった残念なレバノン人だ」と冷たく言い放った。
通信会社に務めるマリアレーヌさんは「成功した時は、彼はフランス人だと言い、犯罪者になれば、レバノン人だと言うのは調子がいい。少なくともゴーン氏の日本の司法制度批判は、自分の潔白を示す意味で何も意味がない。今後フランスには来て欲しくない」と言っている。
(A)