ノーベル賞に恨み節
地球だより
今年も日韓で明暗が分かれたノーベル賞受賞者の発表。リチウムイオン電池の開発で旭化成名誉フェローの吉野彰氏が化学賞を受賞して喜びに沸く日本を横目に、韓国では恒例(?)となった「なぜ取れないのか」の分析に余念がない。韓国は歴史認識問題で加害者である日本に対し道徳的優位に立てても、自然科学の業績では圧倒的な差をつけられたまま。そんな現状にストレスがたまっている。
こちらでは毎年、政府省庁や傘下関係機関が自分たちの業務について国会議員の質問に答える国政監査が行われ、理系最高峰の国立大学と言われる韓国科学技術研究院(KAIST)の国監では時期的に重なったノーベル賞が話題になった。ある議員が「韓国が受賞できないワケは努力不足であり、心構えに問題がある」と叱責した。「心構え」とは研究より出世に気を取られているということらしい。
ここ何年も韓国では受賞できない理由の“研究”が進み、的を射ていると思われるものが多い。「短時間で結果を出せない基礎科学は予算が下りにくく不人気」「高度経済成長の名残で何事も早く結果を出さないと気が済まないのが災いしている」…。ただ、分かっていてもすぐ解決できそうにない問題ばかりだ。
一時は米朝首脳会談で朝鮮半島の雪解けムードが高まり、両者の仲介役を買って出た文在寅大統領に平和賞が転がり込むかもとの期待があったようだが、トランプ米大統領も金正恩朝鮮労働党委員長もいとも簡単に非核化ショーをぶち壊しかねない強者(つわもの)だ。こっちの受賞の方がもっと危ういか…。
(U)