美味しい料理は家で


美味しい料理は家で

 先日、日本から来た客人から「フィンランド料理を食べたいので、どのレストランがいいか」と尋ねられたところ、即答できなかった。

 「フィンランド料理とは何だろう」と考えると、北のラップランドのトナカイの肉料理、あるいはポテトもたっぷり入ったクリーム風味のサーモンスープか、あるいは森で採れたキノコを使った料理か? それとも、湖に生息する淡水魚の素揚げ料理か?

 「フィンランド人が好きな食べ物は」と聞かれれば、ポテトやベリー、ライ麦などによるパンと答えることもできる。だが、日頃はほとんど気にせず気軽にいろいろなものを食べているせいか、「フィンランド料理」と聞かれると、フィンランドに住んでいながら、何だろうと迷い簡単に答えられない。

 フィンランドの料理は、あまり調味料や香辛料を使わないシンプルな料理のせいか、2005年にフランスのシラク元大統領が「欧州で最悪の料理の一つ」と酷評したことがある。また、イタリアのベルルスコーニ元首相もスモークトナカイの肉を「パルマ産のハムのほうが比べ物にならないほど美味しい」と評したことがある。

 昔は、「美味しい料理は家で食べるもの」と言われてきたのがフィンランド料理であり、記者にとっても美味しいと思える料理の一つは家庭料理だ。

 結局、日本からの客人には、フィンランド人がよく食べる料理として、パンと一緒に食べるサーモンスープの専門レストランを紹介した。

(Y)