日韓関係悪化、文在寅政権「積弊精算」最優先を危惧する「日曜報道」
◆側近に不正輸出疑惑
親北左翼の文在寅政権になって日韓関係は悪化する一方だ。「慰安婦」合意が破棄され、「徴用工」判決で請求権協定が無視され、自衛隊哨戒機にレーダー照射もあった。抗議すれば何倍も批判を繰り返す。頑迷この上ない。
その中で政府は1日、輸出手続きを優遇する「ホワイト国」から韓国の除外を検討し、まずフッ化ポリイミド、フッ化水素、レジストの3品目の優遇措置撤回を発表した。韓国では日本製品不買運動などの大騒ぎだ。
この状況にフジ「日曜報道ザ・プライム」は21日放送で、元駐韓大使の武藤正敏氏、大阪市立大学大学院教授の朴一氏、国際政治学者の三浦瑠麗氏が議論した。朴氏は、文政権が輸出規制で「日本に屈することはできない」理由を、「積弊精算」と呼ぶ①朴正熙元大統領、娘の朴槿恵前大統領の権威主義の精算②日本植民地支配の精算③1965年日韓基本条約・請求権協定による日韓体制の否定―を最優先に発足した政権という基本から説明した。
優遇措置撤回の理由である「不適切な事案」を日本側が明かさないことについて、武藤氏は「文政権は司法当局を押さえ込んだ」から、「明らかにすれば跡をたどって、どこから情報が漏れたか調査し叩(たた)かれるので、新しい情報が入らなくなる」と懸念した。
14日放送では、韓国の不正輸出案件のうちフッ化水素がアラブ首長国連邦に流れた背後に文大統領の元秘書室長・任鍾晳氏がいるとの疑惑を取り上げたが、それだけではないのだろう。
◆イデオロギーの殻に
三浦氏は、調査データから韓国では高学歴ほど対日感情が良く、低学歴ほど悪い、所得が高いほど良く、低いほど悪い傾向だという。このため、反日も経済格差など「内政問題に尽きるのではないか」との見方を示した。日本に観光に来る韓国人は旅行ができる余裕がある。反日感情の強い貧困層は親日派とのレッテル貼りによる保守派潰(つぶ)しに留飲を下げるわけだ。
番組は日韓関係の「光明」を問うたが、武藤氏は「韓国の人は基本的に日本の文化が好きだ。文政権が現実を直視したら変わるのではないかと思う。今は自分の殻に閉じこもっているから全くダメだが」と意味深長なコメント。イデオロギー至上主義は左翼にありがちだ。「積弊精算」最優先では「現実」は見えてこない。
TBS「サンデーモーニング」は14日、21日と日韓問題を扱った中で、司会の関口宏氏は「日韓首脳の出番ではないか」と首脳会談を求めた。14日放送で評論家の寺島実郎氏は優遇撤回など「トランプ病」と捉えられかねないので、「アジアのリーダーとして1次元上の目線を持ってるところを見せないとだめだ」と述べ、協力できることも進めよと主張した。
◆解決にならない譲歩
21日放送で、ジャーナリスト・青木理氏は、元徴用工問題などに1965年の日韓国交正常化や請求権協定に疑義を唱えた。「当時、日本の保守政権と韓国の軍事独裁政権が政治的妥協をした。人権問題を蓋(ふた)していただけで民主化されて吹き出している。過去の植民地支配があるのだから、解決済みだとふんぞり返って済まない」と述べ、政治的妥協を上乗せする首脳会談を訴えた。「積弊精算」に同調したコメントだ。
日韓問題のたびに日本に譲歩を促す声が出る。しかし、かつて社会党の村山富市首相の下で、慰安婦問題に「女性のためのアジア平和国民基金」を設けた。民主党政権時代、好意的に宮内庁所蔵の朝鮮王室儀軌などを返還したが、さらなる所蔵物への返還へと要求が膨らみ、慰安婦への補償も求めてきた。その後の今日の状況は何としよう。
ゴールポストが動く相手に対して、わが国は条約・協定、合意の維持に努力して当然だ。先達が汗し苦労し悩み抜いて締結した外交文書はある種のお札(ふだ)であり、お札を破れば魔が差す。
(窪田伸雄)