山火事に地雷談義


地球だより

 「非武装地帯(DMZ)の地雷を爆発させて、スパイが入りやすくしてるんじゃないか」。知人の韓国人50代男性は文在寅政権に皮肉を込めて言った。

 今年の夏も暑くなりそうで、欧州ではもう摂氏45度だ―。そんな会話だった。猛暑と言えば山火事、山火事と言えば韓国で春のことだが4月に江原道で起きた。昨年、米カリフォルニア州の大規模な山林火災と見紛(みまが)うほどの火の海で、街や住宅、無数の車やバスを焼き尽くした。

 ただ、ここでも親北・文政権の南北融和の演出があった。日本海側の北朝鮮との軍事境界線に隣接する江原道北部の山火事は同月4日に起き、発火原因は変圧器の故障と言われている。南西の強風に煽(あお)られて北東へと東京ドーム約120個分を延焼、1000人以上が被災したが、統一相は南北共同連絡所を通して北朝鮮と情報を共有すると発表。

 そこへ北朝鮮が、韓国側のDMZでの消防ヘリコプターによる消火活動を「許可する」ニュースが同月8日に流れた。地雷ゆえに消火は空からの消防ヘリが頼みとなるが、冷戦時代の徴兵制で軍にいた彼は、南北融和より北の南進を防ぐ地雷原の喪失を許可待ちの間に心配したのだ。「韓国の火事なのに消火を北が許可?国民の不幸に北との関係で点数稼ぎだ」と手厳しい。

 土砂災害などで地雷が流れだしたり、思わぬ事故に繋(つな)がることもある韓国の山林には、「地雷・危険地帯」などの看板もある。「マムシ注意」ぐらいの日本の安全が身に染みる。

(K)