韓国の左翼の“駆け込み寺”


地球だより

 北朝鮮ナンバー2の処刑や安倍首相の靖国神社参拝に蜂の巣をつついたような騒ぎとなった韓国で、もう一つ年末の大きなニュースだったのが鉄道労組のストだ。大赤字の会社で高給取りたちがやりだしたストに世論の反応はいまひとつだったが、それにしても韓国は全国的に見ると鉄道普及率は高くないし、今回のストによる運休率もビックリするほどではない。騒いだ割には人質効果(?)がなかったという気がしないでもない。

 ところでそのストで話題だったのが、首謀者たちがソウルのど真ん中にある曹渓寺という有名な寺に逃げ込んだことだ。彼らには違法スト扇動で逮捕状が出ており、本来なら警察が踏み込んで捕まえなければならないところだが、この寺がいわくつきの“聖域”であったため簡単には手が出せないという様子だった。

 曹渓寺は韓国仏教の最大宗派・曹渓宗の総本山。1980年代と90年代に寺院内部の告発や路線対立が発端となって公権力が投入され、境内が修羅場と化した過去がある。それ以来、曹渓寺はカトリック総本山の明洞聖堂と並んで公権力が及びにくい2大宗教施設になったといわれる。首謀者たちはこれを悪用したわけだ。

 だがもっと見逃せないのは、寺にかくまわれた首謀者たちがバリバリの左翼で、寺も近年「反政府」を平気で口にしていることだ。実はこの寺、5年前の狂牛病騒ぎで保守系の李明博政権の退陣要求デモを仕掛けた人たちが逃げ込んだことでも知られる。

 先日は北朝鮮擁護を説教したカトリック教会の“親北ミサ”が波紋を広げたばかりで、護国の精神的支柱たる宗教の相次ぐ“反乱”に朴槿恵大統領も手を焼いている。

(U)