米下院、非常事態宣言の無効決議可決
上院でも通過の可能性
米議会下院は26日、トランプ米大統領がメキシコ国境の壁建設費捻出のため行った国家非常事態宣言について、無効とする決議を行った。賛成245、反対182で可決した。共和党議員13人が賛成に回った。
今後、共和党が多数を占める上院で採決されることになる。可決には最低でも共和党から4人の造反が必要となるが、すでに3人の共和党議員が賛成の意向を示している。
米メディアによると、他にも賛成に傾いている議員が数人いるとされ、可決の可能性がある。
決議が議会を通過した場合、トランプ氏は拒否権を行使する方針。トランプ氏は25日、共和党議員に対しツイッターで「民主党の罠にはまって、国境や犯罪に寛容になるべきではない」と結束を呼び掛けていた。
25日の米紙ポリティコ(電子版)によると、共和党の元議員20人以上も同党の現職議員らにあてた連盟の書簡で、トランプ氏の非常事態宣言を無効にする決議案への賛成を呼び掛けた。
元議員らは、今回の宣言を認めれば、「あなたたちが嫌う政策を実現しようとする(民主党の)大統領も同様の権限を行使する可能性がある」と指摘し、将来の民主党大統領が同様の措置を行う前例となることに懸念を表明した。
トランプ氏が拒否権を行使した場合、議会は上下院の3分の2以上の賛成で、拒否権を覆すことができる。だが、共和党議員の大量造反が必要となり、実現する可能性は低いとみられる。
(ワシントン山崎洋介)