「保守の狙撃手」洪準杓氏、韓国次期大統領選に意欲

 「崩壊した」と言われる韓国保守だが、期待される人材が一人もいないかといえば、そうでもない。月刊中央(2月号)は自由韓国党前代表の洪準杓(ホンジュンピョ)氏(64)に焦点を当てている。

 洪氏は昨年6月の統一地方選での惨敗の責任を取って代表を辞任したが、3月の党大会を控え、再度、代表選出馬が取り沙汰されている。2022年の大統領選で左派政権からの政権奪還を託せる候補選びにもつながるからだ。

 「保守の狙撃手」の異名を取る洪氏は一昨年の大統領選に出馬し、文在寅氏に敗れた。この時の得票率は文氏が41%、洪氏は24%だった。保守が弱体化した現在、同じような票が取れる保証はないが、80%と高支持率を誇った文氏も、最近では経済政策の失敗や一辺倒の対北政策が嫌われ、就任以来初めて支持率(45%)が不支持率(46%)を下回った。次の大統領選で左派や保守派が前回と同じような得票をするわけではないのだ。

 同誌によれば、洪氏は貧しい家庭で育ち、苦学して高麗大を卒業、検事となり、国会議員、慶尚南道知事を歴任するなど、立志伝中の人物である。野党の気安さからか、一昨年12月には日本を訪問し、安倍晋三首相を表敬訪問して、北朝鮮への圧力を最大限強め、対話に引き込むことで一致するなど、対北政策で日本と近い考えを持つ。

 北朝鮮の非核化に失敗すれば、「韓国も核武装するほかない」という強硬発言もあるが、多分に米国の関与を促す狙いのもので、米国がしっかり北の核を管理してほしいというのが本音。

 同誌のインタビューで洪氏が強調するのは、「文政権が願う通りに南北連邦制で統一すれば、結局、大韓民国は消滅する」ということだ。このまま文政権の南北政策を続けさせるわけにはいかないという強い危機感がある。洪氏は次期大統領選を自身の政治家としての「最後の戦い」と位置付けている。

 同誌の記事は、保守はそれなりに健在だということを示すものとなっている。

 編集委員 岩崎 哲