LGBT法制化への反対意見紹介し既存局との違い示したアベマ・ニュース
◆概念曖昧で割合増加
NHKをはじめ、これまでLGBT(性的少数者)運動支援に力を入れてきた既存のテレビ局では作れないだろう、と思わせる報道番組がインターネットテレビで放送された。ネット広告事業などを展開するサイバーエージェントとテレビ朝日が出資して、2016年春開局したネットテレビAbema TVニュースチャンネルAbema News「みのもんたのよるバズ!」(5日放送)で、論客たちが本音の論戦を繰り広げ、LGBT運動の問題点を浮き彫りにした。
まず、司会のみのもんたがこんなことを言った。「自分で自分のこと考えたらね、LGBT? 全部(自分の)中にあるような気がしてしょうがない」。また「今の日本ね、LGBT13人に1人だっけ!」とも。冗談にも聞こえるが、L(女性同性愛者)、G(男性同性愛者)、B(両性愛者)、T(トランスジェンダー)の概念の曖昧さと、巷間(こうかん)指摘されるその割合の多さについて、反語的に疑問を呈したのだ。
筆者はこの欄(6日付)で、性的少数者の割合が「1・6%」となった名古屋市の調査を取り上げ、2015年の電通調査7・6%とあまりにも差が大きく、こうした調査は信憑(しんぴょう)性がないと指摘した。ところが、電通はこのほど、「自分はLGBTだ」と考える人の割合が8・9%(昨年10月調査)と、また増えたことを示す調査結果を発表した。12年調査では5・2%で、それが7・6%、8・9%と上昇していることに対して、同社は「LGBTに関する情報の増加と理解の進展が背景にある」と分析している。しかし、一番の要因はLGBTの概念が曖昧なこと。このため、支援運動がメディアで喧伝(けんでん)されるにつれ、「自分もLGBTかもしれない」と考える人が増えても不思議ではないのだ。
◆法的保護になじまず
番組では、立憲民主党がLGBTへの差別解消を国・自治体の責務とし罰則も設ける「差別解消法」を、また自民党の特命委員会が「性的多様性を受け入れる社会の実現」を目指す「理解増進法」の制定をそれぞれ目指していることを紹介した。しかし、そもそも概念の曖昧なLGBTを法による保護対象とするのはなじまない。いずれの法案も、家族破壊を目指す左派勢力によって「同性婚」の法制化に利用されるという危険性もある。
番組でも、ゲスト出演した文芸評論家の小川榮太郎は「特定のカテゴリーのものをあまり法律で『これは差別してはいけない』『これは理解しなくてはいけない』ということを社会がやっていくと、人々の中で逆の作用が起きる」と言えば、レギュラー女性コメンテーターのフィフィ(エジプト出身のタレント)も「私もそう思います」と、法制化に反対した。堀口ミイナ(トルコ出身のタレント)や、レズビアンの一ノ瀬文香のように賛成する意見もあったが、LGBT運動を支援する既存局ではこれほど反対派の主張を紹介することはなかっただろう。
さらに、ゲイの当事者で、元参議院議員の松浦大悟が性同一性障害者(トランスジェンダー)支援について重要な指摘を行った。「日本では手術をすれば性別変更ができるようになったが、それさえ差別だ、健康な体に手術を求めることは人権侵害だということで、(海外では)手術をしなくても性別移行できるようになっている」。差別解消法が成立すると、性自認が女性だとなれば、男性器が付いていようとも銭湯・温泉・更衣室で女性側に入れなくてはいけなくなる。松浦は「この問題は議論のテーブルに載っていないので、立ち止まって議論すべきだ」と訴えた。
◆可能性を感じた番組
番組で紹介する視聴者の声も既存局なら、法制定を求める声を中心にするだろうが、この番組は違って次の三つを紹介した。
「私は、ホモとして生きてきてLGBTも見てきたから立法化したら危険だと思うわけ」「法律で、マイノリティーがマジョリティーや社会を縛るような法律には断固反対します」「男性、女性ではない生き方を第三者がどう受け止めていいか分からない。戸惑いはあります」
同性婚は世界の流れとして、その法制化を推進する左翼偏向のテレビ局だったら、保守派論客の小川を出演させることさえしなかっただろう。既存メディアが作った言論空間にとらわれないネットTVの可能性を感じさせる番組だった。(敬称略)
(森田清策)