朝ご飯紹介にゲイカップル、女性の生き方に「複数愛」登場させたNHK

◆「同性婚」認知に狙い

 LGBT(性的少数者)支援に力を入れるNHKの“暴走”が止まらない。朝ご飯を紹介する番組で、同性カップルの食卓を放送したかと思えば、「ポリアモリー」(複数の相手と同時期に性愛関係を結ぶ人)のドキュメンタリーを放送した。公共放送でありながら、性道徳を混乱させる「性の多様性」運動に加担する姿勢がより強くなっている。

 NHK総合テレビ「おはよう日本」。ニュースのほかに、生活に役立つ情報などを紹介しているが、その一つに「朝ごはんの現場」というコーナーがある。「朝ごはんから『日本のいま』が見えてきます」(番組ホームページ)という触れ込みだ。

 少し古くなるが、7月27日放送に登場したのはゲイ(男性同性愛者)カップル(30歳と34歳)。二人の暮らす部屋に入ったカメラが、若い方の男性が作ったという漬け物とヨーグルトが並んだ食卓を映し出した。そして「パートナーが健康で楽しく過ごせるようにと思いを込めているのです」と、ナレーションが流れた。二人は5年前にインターネット交流サイト(SNS)で知り合ったという。

 その後、周囲は二人の関係をなかなか理解してくれなかったが、2年前、“結婚式”を挙げたことをきっかけに、決心の固さが伝わり、応援してくれるようになったという説明が続いた。この流れを見ただけでも、番組の狙いが朝飯の紹介ではなく、同性カップルをテレビに露出させ、「日本のいま」として認知させることにあるのは明らかだ。

◆活動家の応援番組に

 同性カップルが夫婦同然に暮らすことに生理的な嫌悪感を覚える視聴者もいるだろう。同性カップルが結婚式を挙げることには賛否両論がある。なのに、番組は男性2人の応援団になっているのだ。

 この番組が、公共放送の立場を逸脱しているとする理由はそれだけではない。NHKが一体どうやって、このゲイカップルを探し出したのか、けげんに思い調べてみると、二人は「朝日新聞」や「毎日新聞」などに登場したことのあるLGBT活動家だったからだ。支援活動を続けるだけでなく、3年前には、同性愛者ら450人と「同性婚」ができないことについて、日本弁護士会に人権救済を申し立てている。“LGBT界隈”は狭い。仲間内で作った番組だったのかもしれない。

 NHKの中でもLGBT支援に特に熱心なEテレに、2人の若者の生き方を同時進行で紹介するドキュメンタリー番組「2人の#」がある。#(ハッシュタグ)は、言葉の前に付けて、ネット検索をより容易にするものだが、8月28日放送は「#結婚しない」がテーマ。つまり、結婚しない生き方をする女性2人のドキュメントだった。

 そこに登場したのが2人の恋人がいるという「きのコさん」(34)と、「選択的シングルマザー」の女性(30)。性的少数者の一つにポリアモリーがあるが、前者がそれ。

 ポリアモリーは25年ほど前に米国で使われ始めた造語で、不倫との違いは関係者全員が合意していることだという。彼女についても、調べてみると、朝日新聞に2年ほど前、1度登場していた。やはりLGBT界隈は狭い。

◆自己中心で道徳逸脱

 シングルマザーの女性は、子供の父親と結婚しないのは「夫婦になるメリットがない」からだという。子供の頃に父親に厳しくされたなど、理由は多々あるようだが、子供のことよりも自分の生き方を優先しているように見えた。一方、恋人の1人と同棲中のきのコさんは「今の日本じゃあ(結婚は)1人しか選べないから、2人の彼氏にフェアじゃない」から、結婚しないのだそうだ。

 当人たちからすれば、自分に素直に生きるということなのだろうが、人は独りで生きているのではない。子供のこと、相手のこと、そして周囲の人のことを考えれば、自己中心であるばかりか、性道徳も逸脱している。社会の健全な発展に貢献すべき公共放送が、そんな女性たちの姿を、あたかも「新しい生き方」のように紹介するのだから、番組製作者の思想的偏りは隠しようがない。

 ロイター通信によると、今年6月、南米コロンビアのメデジンで、男性3人の「ポリアモリー婚」が法的に認められた。結局、「多様な性」支援運動の到達点は「何でもあり」になる。そのうち、ポリアモリーの“入り乱れ家族”が「朝ごはんの現場」に登場するかもしれない。

(森田清策)