公共の場、グリル禁止


地球だより

 日本も暑い日々が続いていると聞くが、アルプスの小国オーストリアでは30度を超える真夏の日々が続いている。今後1週間の天気予報では、今月29日、40度を超えるだろうという。

 ウィーン市当局は今月21日、「公共の場所でのグリルを禁止する」という政令を発した。目的は火災防止だ。南欧のポルトガル中部ペドロガン・グランデで山火事が発生し、60人以上の犠牲者を出したばかりだ。原因は、乾燥しきった山で落雷があり、あっという間に火が広がっていったためだ。自動車で避難しようとした多くの住民は燃え広がる火に取り囲まれた。

 30度を超える気温が続き、雨が降らないために空気は乾燥しきっている。タバコの吸い殻1本で大火災となる。山に散策に行く人はタバコはもちろん禁止だ。ウィーン市当局はグリルシーズンを迎え、家の庭や公共の場所でグリルを楽しむ市民が増えることを見込んで、火災防止策に出てきたわけだ。

 ウィーンっ子は自分の庭や水辺などでグリルを楽しむのが大好きだ。肉、魚、ソーセージ、そして野菜を焼きながら、家族や友人と囲んで食べる。グリルはこのシーズンの楽しみの一つだ。そのグリルを禁止するというのは火災発生の危険性が非常に高いからだろう。ウィーン市当局は「雨が降り、大気の乾燥がなくなれば、グリル禁止は即撤回する」という。

(S)