防衛相と会談も「平行線」
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
稲田朋美防衛相が23日と24日、沖縄入りし、翁長雄志知事と県庁で会談した。普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設をめぐっては、両者の意見は平行線のままで、打開策は見いだせなかった。
会談後の会見で、稲田氏は「知事は断固として阻止したいということで、私の方からは辺野古移転という方針に変わりない」と述べた。
会談の印象について翁長氏も「平行線だった」と認めた一方で、「いい感じはあった」とも。
ピンク色の鮮やかなかりゆしウエアがお似合いだった稲田氏は終始、低姿勢。翁長氏の術中にはまったようにも見えた。翁長氏は冒頭、岩国基地(山口県岩国市)から嘉手納飛行場に飛来した海兵隊所属のAV8ハリアー攻撃機が沖縄本島東沖に墜落したことで、「県民も怒りを持ちながら大変うつろな目でその行方を注視している」と述べ、早期の原因究明、再発防止策を講じてもらうよう強い口調で語った。
普天間飛行場の移設をめぐる裁判については、「地方自治制度を軽視し、県民の気持ちを踏みにじる不当なもの」と述べ、最高裁への上告に対する理解を求めた。
稲田氏は、辺野古に移設することによる沖縄の基地負担軽減を実現する安倍政権の立場を伝えた上で、裁判では「国としての主張をしていく」と述べた。
どの政権になろうと、沖縄に関係する防衛相、外相、沖縄担当相は沖縄県庁を訪問するのは恒例だ。いずれのケースも県が政府に対する要望書を手渡し、辺野古への移設反対、オスプレイ配備反対を強く主張。
唯一のサプライズは県が要望書の項目の中に尖閣諸島の安全確保を初めて盛り込んだことぐらいか。(T)