“お人好し”の村山元首相
地球だより
またかという感じもするが、村山富市元首相が訪問先の韓国で歴史認識問題をめぐり韓国びいきを披露した。いわゆる従軍慰安婦問題で「朴槿恵大統領の粘り強い働き掛け」により「ついに安倍晋三首相の謝罪と(関連財団向けの)10億円拠出を引き出した」というのだ。歴史絡みの日韓懸案事項はこれを「管理」し、争点化させない努力が何より大事だったはず。この問題を日韓関係の入り口にドカンと置いてしまい、その結果、両国に嫌韓・反日感情を広げた張本人こそ朴大統領自身ではなかったのか。
そうかと思えば、村山氏は「核保有国」を高らかに宣言したばかりの北朝鮮に「まず(日本が)手を差し伸べ」て「善隣友好関係を築く」よう求めた。中国が領有権を主張し、強奪する勢いで軍事的挑発を繰り返す尖閣諸島(沖縄県石垣市)については「領土問題があることを認めるべきだ」。相手の善意を信じて紳士的に接したことが、かえって相手に付け込む隙を与え、事態を悪化させてきた現実に村山氏は向き合うつもりがないらしい。
村山氏の訪韓は「平和」などをテーマにした国際フォーラム参加のため。会場には韓国、北朝鮮、中国の肩を必要以上に持つことで有名な日本人学者もいた。「日本が悪い、韓国(北朝鮮、中国)に謝れ」と、一方の立場からのみ主張する日本人は韓国で“良心的日本人”と呼ばれ大歓迎される。残念ながら日本の元首相もそのお仲間だ。
(U)