韓国の高層ビルに潜む危険
地球だより
ソウルの日本人駐在員とその家族が多く住む東部二村洞という地区は別名「日本人村」と呼ばれる。70年代に外国人向けマンションが建設され、ここに入居するようになったのがその始まりで、まだハングルが分からない日本人たちも安心して住めるよう日本語が通じる商店や病院などが集まっている。ここに立ち並ぶ高層マンションはソウルを東西に横切る漢江沿いにあり、景色の良さは抜群だ。
民間ヘリが高層マンションに衝突して墜落した事故は、東部二村洞の約9㌔東、漢江を挟んで向こう岸に長く林立するマンション群の一角で起きた。金浦空港を離陸後、漢江沿いに東に飛び、オリンピックスタジアムに程近い河岸のヘリポートに着陸する直前の出来事だった。事故当時、現場は深い霧に覆われ、肉眼で着陸地点を確認するのは難しかったとみられている。
衝突されたマンションの住民の一人は「一瞬、戦争でも起きたかと思った」という。9・11テロを彷彿(ほうふつ)させる状況でもあった。青瓦台(大統領府)がある川の北側は飛行禁止区域に指定され、ヘリが飛べるのは川の南側だけ。南側はソウルでもひときわ高い超高層ビルが多い江南を抱え、「一つ間違えば自分の家に突っ込んできたかも」と胸をなで下ろしている人も多いはずだ。
高層ビル建設著しい近年の韓国に感心し、圧倒される日本人も、今回の事故で「まさかこんな危険が潜んでいたとは」と驚きを隠せない。挑発好きの北朝鮮が事故を見て「変なこと」を考えなければいいが、と心配する声まで聞かれる。
(U)