宜野湾市でシンポジウム 基地問題の討議内容
「宜野湾と沖縄の未来を考える『日本一早い桜祭り』」
沖縄国際交流政策研究所主催
シンポジウム「宜野湾と沖縄の未来を考える『日本一早い桜祭り』」(主催・一般社団法人沖縄国際交流政策研究所)が11日、普天間飛行場のある沖縄県宜野湾市で開かれ、基地問題を中心に議論された。パネリストには、「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」の我那覇真子運営代表委員、政治評論家でブロガーの江崎孝氏、作家の又吉康隆氏、同研究所の手登根安則代表が参加した。以下は基地問題について話し合ったパネルディスカッションの要旨。
【基地問題について】
我那覇 そもそも基地問題などない。ないものをあたかもあるように沖縄2紙は報道してきた。それでもって県民世論が一方の方向に歪められてしまい、ずっと昔から基地問題で県民は苦しめられているかのように作られていると感じている。
江崎 何事もプラスとマイナスの要因があるが、基地があるために何がプラスか何がマイナスか。沖縄で叫ばれているのはマイナス要因だけ。うるさい、危ない、基地があるから攻撃を受けるというマイナス面ばかり報道している。
では基地があるためのプラス要因は何か。東西冷戦以降、安倍首相も言っているとおり、安全保障の国際環境は変わってきている。戦争や国際紛争は白か黒かでなくグレイゾーンというものがあり、沖縄の尖閣諸島に中国の船が毎日のように領海侵犯している。南シナ海でも中国が人工島も飛行場も作っている。そういう時に抑止力として米軍基地は抑止力として置かなければならない。プラス面を強調するメディアがない。
又吉 嘉手納飛行場のそばで育ち、子供の時から騒音被害を受けている。ベトナム戦争の時の爆音はひどかった。基地に乗り込んでつぶしたい思うぐらいだった。テレビもラジオも聴こえないぐらい。身近にはジェット機墜落事故もあった。
こういう事実を見れば基地は要らないと思うはずだが、子供の時から世界大戦など世界情勢を気にしていたため、ソ連や中国が押し寄せてきたら大変だと思った。台湾危機を防いでいたのは米軍だった。フィリピンの共産ゲリラを抑えたのも米軍だった。米軍はアジアの平和を守る働きをしている。米軍があるから70年間、沖縄は戦争にならなかったという実感がある。
手登根 基地問題イコール沖縄の利権そのものだと思っている。基地があるゆえ、利益を得てきた人がたくさんいる。それは軍用地主だけではない。基地があるために議席を守ってこれた人がいる。基地反対を叫び、「うるさい」「心臓が止まりそうになった」と叫んで議席を獲得した。それにメディアが同調する形で、ささいなことでも大きく伝え、一般市民をだますような形で票を取り込んでいく。
基地の固定化を一番望んでいるのは、日頃、即時撤去を叫んでいる側の人たちではないか。騒げば騒ぐほど移設は遅れ、それが遅れれば遅れるほど自分の政治生命は延長される。そこで毎日、10年前に沖縄国際大学であったようなヘリ事故が起きれば、鬼の首を取ったかのように大騒ぎできる。
基地があるがゆえに膨大な交付金が下りる。保守も革新もそれに群がるように集まる。基地を永遠に置こうとしている人がいることを痛切に感じている。
【普天間飛行場による被害】
江崎 3、4年前に宜野湾市の野嵩に引っ越してきた。何もわざわざうるさくて危険な所に終の棲家を見つけようとする馬鹿はいない。あちこち探したが、騒音被害はまったく念頭になかった。予想通り、まったく気にならない。沖縄はどこに住んでいても航空機の騒音は聞こえる。新聞の報道は嘘の誇大だ。
【基地に対するメディア報道】
我那覇 これは皆の共通認識だと思うが、一方的に基地は悪者だと報道されている。海兵隊政務外交部次長だったロバート・エルドリッヂ氏は「海兵隊は人命救助などいろいろないいことをしているが、メディアはいいことは一切載せてくれない」と言っていた。海兵隊というだけで一方的に悪と決め付けている。
【基地の経済効果】
又吉 県は米軍基地は沖縄経済の阻害要因と言っている。那覇新都心地区は1600億円の経済効果があるというが、ここには大きなごまかしがある。米軍基地のお金は県外から入ってくる。軍用地、工事にしても政府から入ってくる。2、3年前に調べたところ、基地があるゆえに3300億円入ってくることが分かった。
ところが、那覇新都心などは買い物するところ(商業地)でお金が出て行く場所。米軍基地関連で3千億円ものお金が入ってきて、那覇新都心で使うことができる。それがなければ購買力がなくなる。基地は沖縄経済に貢献している。収入でみれば観光関連の半分以上。農業は観光の半分にしかならない。やはりまだ基地経済によって支えられている。ここをみないと沖縄の基地経済を正確に捉えることができない。
嘘の経済論を振りまいているのが県知事であり革新勢力だ。
手登根 観光収入を考える場合はあくまでも売り上げが問われる。一方で、軍用地など基地収入はそのまま純利益になる。沖縄経済は観光で成り立っていると考えることはできない。
【マスコミが書く「県民の8割は辺野古移設反対」について】
我那覇 新聞の調査で8割が反対している。新聞のアンケートは自分たちの主張の根拠を作り上げるために利用している。そもそも固定電話はどれぐらいの人が使っているのだろうか。ランダムで固定電話に掛けて、2000人のうちわずか600人が取って、そのうち8割が反対という結果だが、統計上、信憑性に疑問が残る。また、固定電話を持っている年配の方々は新聞がまじめに本当のことを書いていると信じている。新聞の自作自演そのものだ。
江崎 2014年の知事選挙では仲井真弘多氏が10万票の差で負けた。これを根拠にほとんどの県民が基地反対のように言っているが、当時の約110万人の有権者のうちの10万の差があったからと言って、県民が皆反対とは言えない。
最近、マイナンバー制度が導入されたが、その通知カードの返送率が11%で全国でも突出して高い。このことは何を意味しているのか。選挙のために本土から住民票を写して、選挙が終わったら去っていく人がたくさんいるという噂があった。図らずも、このおかげで、実際住んでいない人々が多いことが明らかになった。翁長知事がほとんどの県民が辺野古反対と言って、新聞が誇大に報道しても、良識のある人であれば信用しないだろう。
【基地問題の解決策】
我那覇 もうほぼ解決していると思う。どれだけ毎日、キャンプ・シュワブのゲート前で活動家が座り込みし、新聞と連携しいろんなキャンペーンを張ってきても工事は着々と進んでいる。翁長氏の裁判も負けるだろう。解決策は粛々と工事を進めることだ。
左翼は基地問題が解決しても活動は続ける。次の革命のための活動の計画を練っている。昨年9月に知事がジュネーブの国連人権委員会に参加した。隣の会場で行われたシンポジウムで琉球新報の編集局長が「沖縄はアメリカの領土でも日本の領土でもない」と発言した。この爆弾発言がネットで騒がれたため、慌てて訂正、隠蔽工作した。
1月3日の同紙社説では「自己決定権」というあいまいな言葉はなく、はっきりと「自決権」という言葉を使った。この言葉を使う前提として「日本人ではない」ということがある。独立国であるという認識・背景で使っている。この問題を危惧している。
江崎 今は宜野湾市長選の最中だが、新聞報道では翁長氏が志村候補を全面的に支援している。代替基地のない返還を主張すると言っている。翁長知事のバックに日米安保反対、米軍基地撤去を主張する共産党がいる。「私は根っからの保守」と言うから翁長氏は日米安保容認に思えるが、見せかけにだまされてはいけない。しかし、実際にやっていることは基地全面撤去だ。ここを有権者は注意した方がいい。
又吉 辺野古移設は確実に完成現する。2010年に政府、県知事、名護市長、辺野古区の4者が同意した。確約を取ったから埋立申請した。法律を守った上でしか埋立できない。公有水面埋立法に准じている場合は承認しなければならない。
仲井真知事が承認した当時、仮に翁長氏が知事であっても承認しなければならなかった。翁長氏には訂正要求しかできない。取り消しはできない。それを平気でやるのが沖縄の政治。
本当は政治経済は順調に進んでいると見るのが正しい。大きな意味での基地問題はない。米軍基地をなくす条件は、共産党一党独裁の中国が議会制民主主義国家になり、アジア諸国に迷惑を掛けたり侵略したりすることがなくなった場合だ。
手登根 地政学的に基地が必要であれば、基地から派生する問題がなくなることはない。最終的に沖縄県民が正常な思考を得る情報が与えられれば、今のような全体主義、オール沖縄のファシズムから抜け出し、誇りある日本国の一員として沖縄でしか担えない部分を担う気持ちに変わっていくと思う。