近親愛憎の心理
今回、日中韓首脳会談は冷え込んだ3国関係を溶かすきっかけとなった。今後、首脳会談を定例化し3カ国が持ち回りで開催することに合意したことが成果である。
英国、フランス、ドイツは隣国同士で「30年戦争」「100年戦争」を繰り返した。お隣はパートナーかつライバルとして愛憎関係にあることが分かる。
さらに半島は大陸国家と海洋国家の狭間で常に両大勢力から侵略を受けた。3国時代の倭寇出没、秀吉の朝鮮出兵及び日帝植民統治が韓日感情の「近因」だが、韓日感情の「遠因」としては心理学的に血族関係にみられる「近親愛憎心理」が根底にある。百済から亡命した渡来人が書いた「日本書紀」に見られる新羅憎悪がそれを裏付ける。
朝鮮戦争の時、韓国に定着した北朝鮮からの避難民は対北憎悪が強い。米国に移住した英国人は祖国、英国と戦い独立戦争を起こした。さらに米国の地域感情は南北戦争にまで発展した。朝鮮戦争もある意味、南北戦争である。英国やイタリアの地域感情は「国境のない国境」の様相を表わす。
韓日関係を比喩する時、「建て前では嫌いだが、本音では大好きな恋人関係」「儒教習慣の強い韓国は兄(中国)の侵略より、弟(日本)の侵略歴史について感情が深い」とよく言われている。
外に敵を作って国民の敵愾(てきがい)心を煽(あお)り国内の結束と長期執権基盤を整えるのが北朝鮮の「反日扇動」「反米扇動」である。韓国のでたらめな左派政治屋も反日感情を煽りながら大衆支持基盤を拡大しようとしているのではないかと、両国の知識人から疑問と心配の声が上がっている。
政治的な演出や大衆心理の扇動をやめて両国民が主役となる「草の根交流」を拡大することこそが感情を溶かす。
両国が小さな体面やメンツにこだわると安保や経済に大きな損失を与えかねない。「小貪大失」の愚を犯してはならない。
(拓殖大学客員研究員・韓国統一振興院専任教授)






