高まる共産党脅威論 議席増と裏腹の支部衰退
労組で減少する支部
共産党の、安保法制廃止の国民連合政府樹立の呼びかけが、話題となっている。10月25日に投開票された宮城県議会議員選挙では、共産党は改選前の4議席から8議席に倍増した。来夏の参議院議員選挙で、共産党の議席が大幅増加するのではないかという疑念、共産党脅威論が高まっている。
しかし、共産党の組織崩壊も着実に進んでいる。今回の安保法制反対で、共産党の青年団体である日本民主青年同盟は取り上げられることはなく、赤旗や日本共産党系の機関紙などでは、「SEALDs(シールズ)」ばかり取り上げられた。今回の安保法制反対への取り組みで、日本民主青年同盟が息を吹き返すことはなかったし、青年党員が増えることもなかった。
そして、今、共産党の労働者組織が消滅しようとしている。10年以内に、安保紛争と、それに引き続く政治活動に取り組んでいた、共産党の団塊の世代が職場から退職する。そうなると、共産党の職場での組織は、共産党系の病院や保育園や、比較的政治活動が自由にできる役所にしか残らなくなる。
日本共産党は、○○会社や△△学校で共産党への新入党者が相次いでいる、などと労働者支部の健在をアピールしているが、共産党の労働者支部の激減は、数字に表れている。近い将来、共産党は、公表している2万という支部の数を、大きく減らさなければならない。
東京都庁の労働組合担当の部署の発表(誰でも閲覧できます)によると、2009年から2014年にかけて、金融労連で支部が三つ減少し、全印総連で支部が54から46に減少し、教職員の組合である全教の私立関係の学校の支部が113から94に減少している。東京都信用金庫健保労組には2名の組合員がいて、芝信用金庫従業員組合には4名、興産信用金庫労組には3名の組合員がいたが、消滅した。三陽社には1名、芝巧芸には1名、センイ・ジャーナルには2名、東京技術協会には4名、陽光堂は2名いたが、消滅した。ここ5年で、江戸川大学総合福祉専門学校、桜華女学院、蒲田女子高、松陰学園、東洋女子学園、日本文華学園、日本文理学院高、明星学苑、早稲田中高、渡辺学園、アメリカンスクール、日本ジャーナリスト専門学校、品川女子学院、貞静学園、十文字幼稚園、平塚幼稚園から支部が消滅した。
共産党が出版する雑誌である「月刊学習」の2012年7月号には、神奈川県川崎中部地区佐川潤地区委員長の「地区内の四割を超す職場支部が困難に陥っていて、毎週支部会議を開催しているところはごくわずかという状態でしたが」、という発言も掲載されている。2010年4月号には、京都左京地区の土井大介常任委員が、支部会議が半年、1年と開かれていない保育職場と民医連病院の15の支部をとある。これらの職場は日本共産党の強いところであるから、支部会議が開かれていなかったというのは驚きである。2011年6月号には、「党員一人ひとりが納める党費額は、二〇〇〇年には全国平均で二千四百三十四円でした。それが二〇〇九年には千六百三十三円となり、八百一円下がりました。…年金生活の党員比重が増えた…」ともある。
労働者階級の党なのか
共産党にとって、職場支部の消滅は重大な問題である。なぜならば、共産党は公式に労働者階級の党を名のっていて、新入党員にも党の教科書でそのように教えているからである。労働者党員の消滅は、共産党の性格を変えてしまう。平和とか平等のみを声高に叫ぶ、マルクスが批判したプチブル政党になってしまう。