冷戦時代から東側に傾斜したユネスコに踏み込まぬ「記憶遺産」報道


◆国連=平和の先入観

 19世紀の英国にトマス・ハクスリーという生物学者がいた。「ダーウィンの番犬(ブルドッグ)」と呼ばれた進化論者で、とりわけ唯物論を擁護したことで知られる。その孫は祖父よりも有名になった。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の創設者で、初代事務局長のジュリアン・ハクスリーだ。彼も正統派進化論者として名を馳せた。

 彼にリードされたユネスコは創設時から曰く付きの組織だった。1950年代後半に共産化された東欧諸国が国連に加盟すると、KGB(ソ連国家保安委員会=スパイ機関)はそれら諸国の国連職員として大量の工作員をユネスコに送り込み、西側諸国との間で軋轢を生じさせた。


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