日韓関係修復に向け知られぬ様々な視点提供した「新報道2001」

◆若者は日本びいき?

 日韓でそれぞれ新政権が発足したものの首脳会談がいまだに開かれず、関係が修復する兆しは一向に見えてこない。この問題を20日の「新報道2001」(フジテレビ)が取り上げていた。

 番組では、安倍晋三首相と朴槿恵大統領が、国際会議で隣同士の席にいながらほとんど言葉を交わさず、意図的に違う方向を見ている様子などを放映。日韓両国は、隣国同士で自由と民主主義という同じ価値観を共有している。多くの観光客が自由に行き来し、両国の間の国際結婚も進んでいる。それなのに、大人の政治家が隣でそっぽを向き合っているのは本当に妙な光景だ。関係を悪化させる大きな出来事があったわけでもないのに一体どうしたことだろうか。

 韓国政府が日本批判を繰り出す事情を探るため、番組の取材班はソウル・ヨイド地区で道行く人たちにインタビュー。ところが、答えていた人たちは若者が多かったが、「日本人の謙虚さは好きだ」というように、ほとんどが嫌っている様子はなかった。

 次に、ソウル大学で歴史問題講座に出席していた朴ジンウ淑明大学教授にインタビュー。自分も普段は日本人が好きだとしながらも、靖国、教科書、慰安婦が反日に火をつける3点セットになっていると述べていた。

◆教科書は誤報が原因

 しかし、教科書問題は1982年、高校用歴史教科書検定で、日本の華北「侵略」が「進出」に書き換えられた…とする大新聞の誤報に端を発したもの。慰安婦問題は1993年、河野洋平官房長官が、韓国政府の意向を忖度して、旧日本軍の関与があったかのように発表したものだ。

 靖国参拝については、慶応大学講師の竹田恒泰氏が、韓国は第2次大戦で日本と戦ったわけではないのに、同戦争でのA級戦犯が合祀されているという理由で首相の靖国神社参拝を批判するのは筋が通らない、と指摘していた。

 慰安婦問題についても、1965年の日韓基本条約で、日本は1ドル=360円の時代に韓国の国家予算2年分にもなる8億ドルの援助を表明し、両国の戦争に絡むすべての問題はこれで決着すると述べられているとアピール。後で慰安婦問題があるとして持ち出すのは国際法上ありえないことである、と批判した。

 これに対して、唯一、韓国側を代弁する立場の朴一大阪市立大学教授は、日韓基本条約を締結したのは軍事政権であり、その後、当時、表面化せず分からなかった慰安婦問題が、民主政権になってから取り上げられるようになったと経緯を説明。条約上の問題ではなく、日本政府に道義的責任があるとの視点で主張した。

 加えて、朴大統領はいつまでも対日批判姿勢を取るのではなく、日韓基本条約締結50年に当たる2015年をにらんで、日本政府から何らかの譲歩を得る中で、軟着陸を測る意向にあると思う、と述べた。

 父親が親日政治家だったことで朴槿恵大統領に期待があったかもしれないが、「韓国で親日といえば、日韓併合に協力した裏切り者の意味しかない」とし、朴槿恵大統領は、逆に父親のイメージ払拭を狙って、反日のスタンスを取っていると付け加えた。

 これに対して元外交官の宮家邦彦氏は、たとえ一旦、日本側が歩み寄って修復しても、韓国の次の政権がそれを帳消しするかのように、新たな対日謝罪要求をしてきかねない、と懸念を表明。朴教授は、その可能性を否定しなかった。

◆ケネディ大使の狙い

 一方、西尾幹二氏は、日韓関係がギクシャクしているなかで、米政権がキャロライン・ケネディ氏を駐日米大使に起用したのは、ケネディ女史をして日本政府に従軍慰安婦問題で譲歩し、日韓関係を良好にするよう迫るため、と指摘。尖閣諸島など日本に対する防衛も、それを条件としてくる可能性があると訴えた。

 舛添要一氏は、戦前、九州で父親が選挙に出たときのポスターと、その名前にハングルで読み方が振ってあるのを示し、戦前は韓国人も選挙・被選挙権があった、と説明。また萩生田光一・自民党総裁特別補佐は、韓国国立歴史記念館の「石炭を素手で掘る韓国人」という写真が怪しげなものであることが判明、日本人の抗議で撤去されたことを紹介。様々に知られていない情報を提供する番組となっていた。

(山本 彰)