W杯閉幕、長期的な若手育成進めよ


 1カ月に及んだサッカーの祭典ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が閉幕した。決勝はドイツが延長の末にアルゼンチンを下して、西ドイツとして参加した1990年イタリア大会以来、24年ぶり4度目の優勝を飾った。日本は1分け2敗の1次リーグC組最下位に終わったが、最高峰のプレーを堪能しようと寝不足が続いた人も多かったことだろう。

課題残したアジア勢

 今大会は171のゴールが生まれた。現在の方式で開催された大会としては、98年フランス大会と並んで最多のゴール数となった。攻守の切り替えが早くなり、鋭い速攻からのゴールが多く生まれたのも特徴だ。

 一方で、前回王者のスペインが早々に敗退し、イタリア、イングランド、ポルトガルなどの強豪国も1次リーグで次々と姿を消した。

 アジア勢としては、日本のほかに韓国、オーストラリア、イランとも1勝もできずに大会をあとにした。急成長しているアジアのサッカーだが、まだまだ世界との差があると実感させられた。

 日本の選手たちが一様に口にしたのは「自分たちのサッカーができなかった」だった。親善試合と違い、真剣勝負の場では、得意とするプレーを簡単にさせてもらえない。いかに相手の良さを消した上で、自力を発揮できるか。そういう部分も含めて、まだまだ日本サッカーは発展途上にある。

 日本は93年のJリーグ発足後、若手育成に取り組んできた。その結果、W杯常連国になりつつあるまでに成長した。しかし、そこからさらに上を目指すには、いま一度、若手育成プランを見直す時期に来ているのかもしれない。その際、優勝したドイツの例が参考になるだろう。

 ドイツは2000年欧州選手権の1次リーグで1勝もできずに敗退してから、サッカー連盟を中心に若手育成の改革を推進してきた。国内リーグの1、2部クラブに下部組織の設置を義務付け、クラブのスカウトから漏れた有望な若手発掘にも力を入れた。

 決勝で値千金のゴールを決めたゲッツェとそれをアシストしたシュルレは、ともに東西ドイツの統一後に生まれた若手の代表格だ。彼らを含め、ドイツ代表メンバーには23歳以下の選手が、大会中に負傷離脱した選手を入れて7人もいた。まさにドイツサッカー界全体で取り組んできた強化計画の結実だろう。

 日本もサッカー協会が中心となって、長期的な若手育成の改革を進めてもらいたい。まずは今大会の総括が必要だ。

リオ五輪に反省生かせ

 大会前に懸念された市民デモは、ブラジルが勝ち進むにつれて少なくなったが、ドイツに大敗したあと放火が相次いだ。国民の期待を一身に集めたネイマールが負傷で不出場だったとはいえ、7失点の敗北はサッカー王国ブラジル以外の国々にも大きな衝撃だった。

 ブラジルは2年後の16年にリオデジャネイロ五輪を開く。準備の遅れやデモへの対応などといった今回の反省点を生かし、南米初の五輪を実りある大会にしてほしい。

(7月15日付社説)