軽井沢バス事故、運行会社社長ら無罪を主張


予見可能性を否定、「事故を起こすとは思わなかった」

軽井沢バス事故、運行会社社長ら無罪を主張

クレーン車で斜面から引き上げられる転落したスキーバス=2016年1月15日、長野県軽井沢町

軽井沢バス事故、運行会社社長ら無罪を主張

「イーエスピー」の社長高橋美作被告

軽井沢バス事故、運行会社社長ら無罪を主張

「イーエスピー」の運行管理担当の元社員荒井強被告

 長野県軽井沢町で2016年1月、大学生ら15人が死亡し、26人が負傷したスキーバス転落事故で、業務上過失致死傷罪に問われた運行会社「イーエスピー」(東京)の社長高橋美作(60)、運行管理者だった元社員荒井強(53)両被告の初公判が21日、長野地裁(大野洋裁判長)であった。高橋被告は「やるべきことはやった」、荒井被告は「運転手が事故を起こすとは思わなかった」と述べ、両被告の弁護人は無罪を主張した。

 公判では、▽事故を予見できたか(予見可能性)▽事故を回避するために必要な措置を講じたか(結果回避義務違反)などが主な争点となる。

 検察側は冒頭陳述で、事故で死亡した運転手が採用時に「大型バスの運転に不安がある」という話をしたのに、荒井被告が技量などを確かめずに雇用したと指摘。事故前にベテラン社員とペアを組ませた際も、運転手はギアチェンジの失敗などをしたと述べた。高橋被告については、荒井被告が運転手の技量確認を尽くしていないと認識しながら、自ら確認したり、同被告を指導監督したりするのを怠ったと主張した。

 公判では、荒井被告が「誰でもいいから運転手を紹介して、免許があればいい」と発言したとする他の元社員の供述調書も読み上げられた。調書によると、同被告は運行管理者としての職務を果たさず、何度注意しても変わらなかったという。

 一方、高橋被告の弁護人は「被告は運転手の技術が未熟とは認識していなかった」と予見可能性を否定。荒井被告の弁護人も「予見可能性がない以上、無罪だ」と述べた。次回公判は11月8日で、証拠調べが行われる。

 起訴状によると、両被告は男性運転手が大型バスの運転に不慣れで、夜間に冬季の峠道を長時間運転すれば事故を起こす可能性があると予見できたのに、必要な訓練などを行わずに運転業務に従事させた。その結果、運転手は事故を起こしたとされる。