公取委、中部電力と東邦ガスに立ち入り検査
大口向けの電力やガスの契約めぐり受注調整していた疑い
事業者など大口顧客向けの電力、ガスの契約をめぐり受注調整していた疑いが強まったとして、公正取引委員会は5日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、中部電力と小売り子会社の中部電力ミライズ、東邦ガス(いずれも名古屋市)を立ち入り検査した。
3社は4月にも、家庭向け電力や都市ガスの販売をめぐり価格カルテルを結んでいた疑いがあるとして、公取委の立ち入り検査を受けている。
関係者によると、3社は中部地方で、工場やビルなど事業者向けの特別高圧電力や高圧電力、年間使用量10万立方メートル以上の大口ガスの入札や見積もり合わせの際、事前に連絡を取り合い、どちらが受注するかなどを決めていた疑いが持たれている。
電力やガスは1995年以降、大規模工場など大口向けから順に小売り自由化が進み、電力は2016年、ガスは17年に全面自由化された。競争を促し、料金値下げやサービス向上につなげる狙いがある。
だが、西日本の大手電力各社が自社エリア外の事業者に営業活動を行わないよう申し合わせ、顧客獲得競争を制限していた疑いが浮上。公取委は今年4月に中部電、関西電力(大阪市)、中国電力(広島市)などを、7月に九州電力(福岡市)、関電、中国電などを立ち入り検査し、実態の解明を進めている。
中部電力と東邦ガスは立ち入り検査を受けたことを認め、「調査に全面的に協力していく」とコメントした。