57年ぶり2度目の東京五輪、選手1.1万人が参加
205の国・地域から集結、緊急事態宣言下の異例の幕開け
第32回夏季オリンピック東京大会は23日夜、開幕した。新設された東京・国立競技場で午後8時から開会式が無観客で行われ、天皇陛下が開会宣言された。東京での五輪開催は1964年大会以来、57年ぶり2度目。新型コロナウイルスの影響で史上初めて1年延期され、緊急事態宣言下にある開催都市での異例の幕開けとなった。開会式当日発表の都の新規感染者は1359人。選手や関係者にもコロナの陽性確認が相次ぐ中で、節目の日を迎えた。
北朝鮮を除く205の国・地域(ロシア選手は個人資格)、難民選手団を含めて約1万1000人の選手が参加する。大会は8月8日までの17日間。野球・ソフトボールが3大会ぶりに追加競技で復活し、空手、スポーツクライミング、スケートボード、サーフィンが新たに採用された。史上最多となる33競技339種目で戦いが繰り広げられる。
開催国日本は33競技に1060人(選手583人、役員477人)と、史上最大の選手団になった。金メダル30個を目標に掲げる。
日本は男女の旗手を起用し、開会式でバスケットボール男子の八村塁選手(ウィザーズ)とレスリング女子の須崎優衣選手(早大)に率いられて入場行進した。3月25日に福島県を出発した聖火は、公道でのリレーが一部中止になりながら47都道府県を回り、テニス女子の大坂なおみ選手(日清食品)によって国立競技場の聖火台にともされた。
式典をめぐっては制作チームの解散や、担当者の過去の不適切な行為、発言などへの批判が相次いだ。開会式前日には演出全体の調整役だったショーディレクターが解任され、混乱の中でセレモニーが行われた。
東京開催は2013年9月にブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まった。国立競技場やエンブレムの白紙撤回、大会経費高騰、招致疑惑浮上など問題が相次ぎ、20年3月に新型コロナの感染拡大により1年延期が決まった。当初掲げていた震災復興の理念からコロナ克服に軸足が移ったものの、感染を抑え込めず、不安を抱えたまま本番を迎えた。