準備着々、五輪の開幕待つ横浜、福島両球場
無念の無観客開催も全力で、開幕戦は福島から全世界に発信
東京五輪で野球・ソフトボールの試合が行われる横浜スタジアムと福島県営あづま球場。新型コロナウイルスの影響でどちらも無観客での試合開催が決まったが、選手らを迎え入れる準備は着々と進んでいる。
プロ野球DeNAの本拠地であるメイン球場の横浜スタジアムは、本番を目前にして雰囲気ががらっと変わった。普段は選手の写真やチームスローガンなどで彩られている壁面は、五輪仕様のデザインに一変。広告も姿を消し、「TOKYO2020」の文字が躍る。
2017年11月から球場の改修が行われ、スタンドに約6000のウイング席を新設するなど収容人数を約3万4000人に増やした。無念の無観客開催となったが、野球日本代表の稲葉篤紀監督は「野球ができる喜びを感じないと。テレビの前で応援してくれるファンはたくさんいるので、全力でしっかりやっていきたい」と、気持ちを奮い立たせた。
あづま球場も18年11月に大幅な改修工事を開始。内野は黒土、外野は天然芝だったが、水はけの良い人工芝に張り替えた。外野には仮設のスコアボードも設置。球場の周辺は約3キロにわたって高さ3メートルの壁に囲まれ、中はのぞけない状態になっている。
開会式2日前の21日、あづま球場ではソフトボールの日本-オーストラリア戦が午前9時に始まる。いわば五輪全体の「開幕戦」が福島から全世界に発信される。球場のグラウンド管理などを務めてきた同県都市公園・緑化協会の高橋政人さんは「どんなことがあっても、最初っていう衝撃は世界、日本中に行き渡るのかなと思う。無事に開催されて成功したらブランド化になる」と効果を期待する。
観客の有無に注目が集まりがちだが、あくまで主役は選手だ。高橋さんは「ここを目指してきた人にとって金メダルへ向けてのスタートラインになる。手を抜くことなく、迷惑を掛けないようにしたい。またここでやりたいね、と思われるように」。万全の態勢で熱戦をサポートするつもりだ。