外交素人のケネディ大使赴任は米国の日本軽視と喝破した文春、新潮
◆こちらも期待外れか
最近、日本はつくづく女性に“失望”させられている。当初、親日家だと思い込んでいたのが、実はとんだ「反日」というか、日本への理解がない御仁だったのだ。誰の話かというと、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領と駐日米国大使のキャロライン・ケネディ氏だ。
もっとも、「失望」は「期待」の裏返しで、その期待自体がこちら側の“勘違い”や“思い込み”だったという反省はしなければならないが……。
ケネディ大使は赴任当初からフィーバーを巻き起こした。皇居での信任状奉呈式に馬車で臨めば、沿道には6000人の見物客が押しかけ、大使自身のツイッターで「ニセコでパウダースノーを楽しんでいます。滑っているのは私よ」と写真付きでつぶやけば、「気さくな人だ」と好意的に捉えられていた。だが、安倍晋三首相の靖国神社参拝に、「失望した」との声明を発表した辺りから、「ひょっとしてこの人?」という疑念が広がり始めた。
大使館の声明は衝撃だったものの、靖国参拝自体を批判しているわけでなく、「近隣諸国との緊張を悪化させるような行動」に対して「失望」したというものだった。また、日米関係の重要性にも言及されていた。
だが、良く練ってあるようでいて、この声明はケネディ大使率いる駐日米国大使館が出したという点でやはり重大だ。ケネディ大使は日米関係の微妙なところにいとも簡単に手を突っ込むのか、ということだ。
それほどこの声明は重要だったわけだが、この時ケネディ大使以下、大使館スタッフは日本にどんなメッセージを伝えようか真剣に検討していたのだろう、と思いたいのだが、実は違っていた。
◆軽く批判をつぶやく
週刊新潮(1月30日号)によれば、安倍首相が靖国参拝した直後の時間、ケネディ大使は家族で京都の上賀茂神社を参拝していた。さらに「大使館ナンバー2の公使もスキーで東京を留守にしていたと言います」と「米国務省のさる関係者」が同誌に明かしている。
いったいどういうことか。同誌は「観光の片手間に、<失望>という、日米関係に障害を来しかねない極めて『危険』な言葉が考案され、世界に向けて発信されていたわけだ」と述べる。
同誌はこの記事「日本を軽んじる米国大使『キャロライン・ケネディ』のお遊び優先」で、大使の「お遊び」の多さに注目し、前出の北海道スキーの他に、東京ドームでのコンサートや“長い年末年始休み”などを取り上げて、「どうにもこうにも、お遊びに現(うつつ)を抜かしている感が否めない」と書いた。人気があるうちに、批判点を見つけて、それを突くのは同誌の得意とするところだ。
さらに最近、また日本の神経を逆なでする発言をしている。「イルカ漁」批判だ。これに焦点を当てている週刊文春(1月30日号)を見てみる。やはりツイッターでケネディ大使は、「米国政府はイルカの追い込み漁に反対します。イルカが殺される追い込み漁の非人道性について深く懸念しています」とつぶやいたのだ。つぶやきといっても、大使の独り言ではない。フォロワーは7万4000人もいる。明確なメッセージであり、なにしろ「主語」が「米国政府」である。
なぜ、イルカ漁を米国政府の名で批判したのか。同誌は「その背景には、悪名高き『シー・シェパード』の存在があった」と指摘する。「ケネディ家は資金力のある環境保護団体が支持基盤となっている」(石澤靖治・学習院大学学長)のであり、「大使のいとこで弁護士のロバート・ケネディ・ジュニア氏は、シー・シェパードの支援者」だという。大使の口からイルカ漁批判が出てくるのは当然なのだ。
それよりも問題は「米国政府は」というくだりだ。権限を逸脱しているわけだが、この件はケネディ大使が「素人外交官」であることを如実に表す事例となった。
◆フィーバーが監視へ
新潮に戻るが、大使になった経緯が「論功行賞」だと「在米ジャーナリストの古森義久氏」が解説する。さらに、古森氏はこんな素人を日本に送ることについて、「クリントン政権で東アジア・太平洋問題担当の国務次官補を務めたウィンストン・ロード氏」が「日本への侮辱となる」と指摘していることを紹介し、「オバマ政権は日本を軽視している」と結論付けた。
両誌そろってフィーバーから覚め、今後はケネディ大使への厳しい監視が始まるだろう。
(岩崎 哲)