トランプ米大統領入院


数日間「予防的措置」病院で執務

 トランプ米大統領は2日、首都ワシントン近郊の病院に入院した。ホワイトハウスは「予防的措置」であり、今後数日間、病院から執務を続けると説明した。大統領選まで1カ月に迫る中、現職であるトランプ氏が入院する事態を受け、病状に懸念が高まっている。

周辺で集団感染の可能性

 スーツにマスク姿のトランプ氏はホワイトハウスを出て、報道陣に軽く手を振りつつ歩いてヘリコプターに乗り込みウォルター・リード陸軍病院に向かった。ツイッターにビデオメッセージを投稿し「私はとても元気だが、念のための措置だ」と述べた。

2日、米ホワイトハウスで、大統領専用ヘリコプター「マリーン・ワン」へ歩いて向かうトランプ大統領(AFP時事)

2日、米ホワイトハウスで、大統領専用ヘリコプター「マリーン・ワン」へ歩いて向かうトランプ大統領(AFP時事)

 トランプ氏の主治医はトランプ氏に倦怠(けんたい)感があるとしているが、詳しい病状は明らかにされていない。複数の米メディアによるとトランプ氏の症状は2日悪化し、せきや発熱、鼻づまり、息切れの症状も出ているという。トランプ氏は、重篤化のリスクが高い高齢で肥満体質であるため、健康状態に懸念が高まっている。

 主治医が発表した声明によると、トランプ氏は入院前、米リジェネロン社による未承認の抗体薬を投与された。

 同社は先月29日、治療薬の臨床実験で患者からウイルスを減らし、症状を軽減させたとする初期結果を発表していた。無症状や軽症の人の重症化を防ぐ効果が期待されている。

 トランプ氏の主治医は2日深夜、「大統領は体調は非常に良く、酸素の補給を必要としていない」と説明した。米食品医薬品局(FDA)の緊急認可を受けた治療薬「レムデシビル」を服用し、安静にしているとした。

 トランプ氏は同日深夜、ツイッターで「うまくいっているようだ。皆さんありがとう。LOVE!!!」と投稿した。

 トランプ氏の周辺でも感染が相次いでいる。2日にはトランプ陣営のステピエン選対本部長や共和党全国委員会のマクダニエル委員長の感染が新たに判明した。

 共和党のリー上院議員とティリス上院議員、コンウェー元大統領顧問、ノートルダム大学のジェンキンズ学長も感染が確認された。4人はいずれも先月26日にトランプ氏が連邦最高裁判事の指名を発表したホワイトハウスのイベントに参加していたことが分かっている。

 同イベントで参加者たちの多くはマスクを着用しておらず、座席も間隔を空けていなかった。集団感染が起きた可能性があり、さらなる感染拡大が懸念されている。

(ワシントン 山崎洋介)