尖閣諸島 日米共同訓練の定期的実施を
沖縄県・尖閣諸島周辺では中国公船の領海侵入が常態化している。
尖閣は日本固有の領土であり、菅義偉政権は尖閣を守り抜くための政策を強化すべきだ。
自民国防議連が提言
尖閣周辺の領海では、中国公船が日本漁船を追尾した事案も相次いでいる。中国公船は機関砲とみられる武器の搭載など軍艦艇並みの装備を備えており、脅威は高まっている。
4月から8月にかけては、尖閣沖の接続水域内での航行が2012年9月の尖閣国有化以降最長の111日連続に達した。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、中国は力による現状変更の動きを強めている。こうした現状を放置できないのは当然である。
自民党国防議員連盟は9月、尖閣の実効支配強化のための提言を政府に提出した。尖閣を含む南西諸島での日米共同訓練の実施や、この地域の空港や港湾を自衛隊が使用できるように整備、拡張することなどを盛り込んだ。
沖縄県宮古島市の下地島空港は尖閣に近く、戦闘機が離着陸できる滑走路もあるが、県が自衛隊の使用を認めていない。政府は県に丁寧に説明し、自衛隊使用への理解を得られるように努めなければならない。
このほか、海上保安庁の体制を強化する必要があるとして、巡視船に対空レーダーを搭載し領空侵犯への対応で自衛隊との連携を進めるほか、人員や巡視船を増やせるよう予算を拡充すべきだとしている。新たな灯台や無線局の設置なども提案。国防議連は尖閣に関する勉強会を重ねており、政府の21年度予算編成に間に合わせる形で提言をまとめた。
さらに、台湾の防衛当局とも中国軍の動向について情報共有を強化するよう要請した。中国の圧力を受ける台湾との防衛協力も進める必要がある。
米国内でも日本との尖閣共同防衛構想が浮上している。中国の拡張を封じ込めようとする動きの一環である。米有力シンクタンク「全米アジア研究所」は、尖閣防衛のための「日米統合機動展開部隊」常設構想を打ち出した。米国は、尖閣が日米安保条約第5条の適用範囲だと繰り返し表明している。
日本でも尖閣防衛のため、陸海空自衛隊を統合した常設の機動展開部隊を創設し、在沖米海兵隊との連携を強める構想がある。尖閣を守る上で、米軍との連携も重要性を増していると言えよう。
自衛隊と米軍は8月、尖閣周辺で中国政府が設定した禁漁期が明けたのに合わせ、東シナ海などで共同訓練を相次いで実施した。中国が挑発行為を行わないように牽制(けんせい)する狙いだが、この海域における日米の演習や訓練を定例化すべきだ。
習氏の国賓来日中止を
菅首相は中国の習近平国家主席との電話会談を行ったが、新型コロナの影響で延期された習氏の国賓来日に関しては言及しなかった。
中国が尖閣周辺で日本の主権を侵害している中、日中関係を改善することなどできるはずがない。習氏の国賓来日は中止すべきだ。