李登輝氏を悼む
編集局 2020/7/31 アジア・オセアニア [会員向け]
公義貫いた「哲人政治家」
李登輝氏は1988年1月、蒋経国総統の死去で台湾生まれの台湾人として初めて総統となり、国民党主席となったが、当時の国民党の支配者は、戦後、蒋介石とともに中国大陸から台湾へ移転してきた「外省人」長老たちであった。
それら国民党エリートは、台湾の人口の二割にも満たない少数派であったから、国民党支配体制は、外来の少数派が土着の多数派を支配する、いびつな構造だった。台湾の民主化は、国民党主席、総統となった李氏が、国民党支配エリートを歴史の後景へと押しやる、史上稀有な「静かな革命」であった。
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