「尖閣で漁船追尾やめよ」ー沖縄県議会

対中国で政府に意見書
沖縄県議会 全会一致で可決

 沖縄県石垣市の尖閣諸島の沖合で、中国海警局の船が日本の領海に侵入し、漁船に接近する動きを繰り返していることについて、沖縄県議会(赤嶺昇議長)は28日、「尖閣諸島周辺海域での中国公船による漁船追尾等に関する意見書」を全会一致で可決し、政府に対し、中国政府に働き掛けるよう求めた。

追尾の恐ろしさについて語る意見書提出者の又吉清義県議 28日沖縄県議会

追尾の恐ろしさについて語る意見書提出者の又吉清義県議 28日沖縄県議会

 意見書では、尖閣諸島は「わが国固有の領土であることは紛れもない事実」と強調。その上で、尖閣諸島周辺で中国公船が100日以上連続で確認されており、領海侵入が17日間延べ56隻に上ると指摘した。

 中国公船の威嚇行為については、「周辺で操業を行う県内の漁業者に対し、これまでにない大きな脅威と不安を与えている。今後さらなる不測の事態を招くおそれがあり、断じてあってはならない」とした。

 政府に対しても漁業者や地域の住民の安全確保に努めるよう求めるとともに、中国政府に沖縄県漁船の追尾・威嚇行為を行わないよう働き掛けることと、平和的な外交で中国との関係改善を図り、尖閣諸島周辺の領海・排他的経済水域の安全を確保するよう要請した。意見書は内閣総理大臣ほか関係大臣宛て。昨年7月にも同様の意見書が全会一致で可決されている。

 領海内での漁船追尾をめぐり日本政府は5月、複数のルートで中国側に抗議したが、2隻が間もなく領海侵入。逆に中国当局がパトロールと称し日本漁船に対し領海内から出ていくよう主張してくるなど、事態はエスカレートしていた。

 意見書提出者の又吉清義県議は本紙の取材に、「日本の主張を簡単に突っぱねる中国の姿勢は脅威」だとし、「沖縄県民は中国公船に追尾されることの恐ろしさの実感がない」と指摘。「県民の安全と生命、領土・領海を何が何でも守るという思いで提案した」と話した。

 中国海警局の船は7月4日から5日にかけて、約39時間にわたって領海侵入した。28日にも領海外側の接続水域で2隻が航行しており、周辺海域で中国公船が確認されたのは106日連続。尖閣諸島国有化以降、いずれも過去最長を更新した。

(沖縄支局)