反政府のマッチポンプである「基金賞」受賞に大はしゃぎの沖縄タイムス
◆紙面使い反基地闘争
沖縄県の地元紙、沖縄タイムス(以下、タイムス)が大変なはしゃぎようである。「平和・協同ジャーナリスト基金賞」を受賞したというニュースがこのところ、やたらと登場するのだ。
11月29日付社会面では同紙編集局の「権力の暴走をただし、民主主義を問う一連の報道」が奨励賞を受賞したと伝え、12月6日付では報道に関わった記者6人の思いを紹介する特集を組み、同8日付1面では東京都内で開催された同賞贈呈式の写真入り記事を載せている。
「一連の報道」とは、改正ドローン規制法や宮古島市のスラップ訴訟提案、自民党県連による同紙への圧力など「暴走する権力」に対峙(たいじ)した記事だという。それが平和や人権擁護などの分野で優れた報道をした個人・団体に授与する「平和・協同ジャーナリスト基金賞」のお眼鏡にかなった。
が、これには思わず眉に唾を付けた。いずれも怪しげな記事ばかりだったからだ。改正ドローン規制法は小型無人機「ドローン」を使ったテロを防ぐためのもので、今年5月の国会で自民・公明両党や国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。このどこに「権力の暴走」があるというのか。
テロを含むドローン攻撃への対応は国際的な課題だ。毎日は昨年12月9日付で「自衛隊『無防備』横田基地も…ドローン規制なし4割」と報じ、穴だらけのドローン規制法を問題視していた。それをタイムスは沖縄の基地や辺野古を監視できないとして「ドローン目隠し法案」とのレッテルを貼り、執拗(しつよう)に反対キャンペーンを張った。紙面を使った反基地闘争の類いだ。
◆市民運動の暴走支援
では、宮古島市のスラップ訴訟提案はどうか。スラップ訴訟とは社会的「強者」が「弱者」を威圧する訴訟のことで、ここでは市を指すが、果たして市は「強者」か。
宮古島市によれば、住民らが不法投棄ゴミの撤去事業をめぐって住民訴訟を起こし、その訴訟手続きや新聞報道で虚偽の事実を繰り返し唱え続け、市の名誉を毀損(きそん)した。それで損害賠償請求の訴えの提起を求める議案書を議会に提出した(後に撤回)。
これがなぜ威圧なのか、首を傾(かし)げる。住民らに虚偽がないなら、堂々と受けて立てばよいではないか。彼らには裁判闘争がお手のものの共産党系弁護団が付いている。ところが、そうはしない。勝つ自信がないから弱者ぶっているのか。スラップ訴訟提案は「市民運動の暴走」への行政の対応策としか言えまい。
もう一つの自民党県連による同紙への「圧力」は、圧力というほどではない。今年7月の参院選の舞台裏を描いた記事に対して自民党県連が抗議の記者会見を開いた。それだけの話である。これを「圧力」としてタイムスは批判する。抗議を受けたぐらいで「圧力」とは、読んでいる方が気恥ずかしくなる。
◆名を連ねる左翼団体
こんなふうにタイムスの記事は「権力の暴走をただし、民主主義を問う一連の報道」とは懸け離れたシロモノである。それが堂々の「平和・協同ジャーナリスト基金賞」の奨励賞だ。いったい「基金」は何者なのか。
基金の代表運営委員は元朝日新聞記者の岩垂弘氏だ。朝日時代には北朝鮮を「地上の楽園」と書き、中国共産党のお先棒と称された、いわゆる親朝・親中ジャーナリストの雄である。朝日退職後、「市民からの寄付」で基金を創設したという。
どんな「市民」が寄付しているのか、基金のホームページを見ると、「朝日新聞OBグループ・一木会」「朝日新聞編集委員有志」のほか、新聞労組、共産党系の「岩手県生協」、極左集団・革マル系とされる「JR北海道労組」など左翼団体が名を連ねていた。
何のことはない、反政府のマッチポンプである。こんな基金賞を喜々として受けるタイムスは自ら「左翼団体」と世に明かしたに等しい。
(増 記代司)