トランプ氏に無罪評決


罷免回避、米弾劾裁判が終結

 トランプ米大統領の「ウクライナ疑惑」をめぐる上院の弾劾裁判は5日、権力乱用と議会妨害の二つの条項ともに無罪評決を下した。トランプ氏は大統領を罷免されないことが決まった。米国史上3人目となった弾劾裁判は、民主党が疑惑を厳しく追及する一方、共和党はトランプ氏支持でほぼ結束し、与野党対立の深さを鮮明にした。

トランプ氏

トランプ氏(EPA時事)

 上院には、与党・共和党が53議席、野党・民主党系が47議席を占める。弾劾裁判でトランプ氏を罷免するには、そのうち3分の2以上が「有罪」と判断とする必要があった。

 評決では、「権力の乱用」は有罪48人、無罪52人、「議会妨害」では有罪47人、無罪が53人で、いずれも過半数にも届かなかった。民主党議員のすべてが「有罪」としたのに対し、共和党議員は、2012年大統領選候補でトランプ氏に批判的なロムニー議員が「権力の乱用」について造反し「有罪」に回った。

 トランプ氏は無罪評決を受け、ツイッターで「でっち上げの弾劾に対する、わが国の勝利について話そう」と述べ、6日正午にホワイトハウスで公式声明を発表すると明らかにした。

 民主党のペロシ下院議長は判決後の声明で「証拠を制限し、公正な司法手続きの最も基本的な要素を否定することで、共和党上院は大統領の隠蔽(いんぺい)に進んで共謀した」と非難した。

 民主党が多数派を握る下院は昨年12月、トランプ氏が自らの政治的利益のためにウクライナに圧力をかけた「権力の乱用」と議会調査への協力を拒否した「議会妨害」で同氏を弾劾訴追した。裁判は1月中旬に開廷し、大統領弁護団は無罪を主張。民主党が求めていたボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)らの証人尋問は、共和党議員の反対で、実現しなかった。

 トランプ氏は自らの潔白が証明されたとして、11月の大統領選に向け、弾みをつけたい考えだ。一方、民主党側も無罪評決は政治的に下された結論だとして、トランプ氏や共和党に対する批判を強めている。トランプ氏のウクライナ疑惑については、大統領選の