南北問題の世論調査

統一より経済優先の韓国民

 外交や経済がガタガタになっているのに、北朝鮮に「オールイン」している韓国の文在寅政権だが、実際、韓国民は南北問題についてどう思っているのか、月刊朝鮮(6月号)が調査結果を報じている。

 調査は韓国保険社会研究院によるもので、全国の成人男女3873人を対象に対面式で行われた。

 「統一と経済、解決すべきはどちらか」を聞くと「経済」が77・1%と圧倒的だった。「統一」は7%弱にすぎず、その差は10倍を超えた。国民と文大統領の間には大きなずれがある。

 「南北は必ず統一すべきか」には半数を超える55・9%が同意しているものの、「統一のためには窮乏に耐える」のは17・12%でしかなく、53・24%は「同意しない」と答えている。建前として南北統一は唱えるが、本音ではそのための耐乏は嫌だということだ。

 これを身勝手と指弾することはできない。南北の生活水準には雲泥の差がある。統一すれば、南は北を助けざるを得ず、韓国民の負担と耐乏は避けられない。ただでさえ、経済が厳しく、若者の失業率も高いのに、さらに北朝鮮を引き受ければどうなるのか、と不安視するのも当然のことなのだ。

 心理的にも韓国民にとって北朝鮮は受け入れるには難がある。同誌は「脱北者の北送還」問題を取り上げている。

 中国に脱出した北朝鮮人を中国の公安が逮捕すると、彼らの希望地である韓国などに送るのではなく、北朝鮮に送り返してしまうのだ。中国は強制送還を禁じる国連難民条約に加盟しているのに、である。

 同誌は脱北して、中国大陸を移動し、ベトナムとの国境に近い南寧市まで来ながら、中国公安に捕まった家族を取り上げている。「送還されれば死が待っている。いっそここ(中国)で殺してくれ」という訴えは悲痛である。こんな国と統一しようと考える韓国民が少なくても責められることではない。

 編集委員 岩崎 哲