予言か? 政権の本音か?

波紋広がる文教授発言

 「未来を見通す予言か」「政権の本音か」―。韓国大統領特別補佐官の先走った発言が波紋を広げている。『月刊朝鮮』(4月号)が取り上げた。

 文正仁延世大名誉特任教授のことだ。同氏は米外交専門誌フォーリン・アフェアーズに寄稿し、「平和協定が締結された後には朝鮮半島での在韓米軍駐留は正当化しにくいだろう」と述べた。北朝鮮は表面上は米軍の駐留を認めるような発言をしている。文教授の発言はその先を行くもので、北の本音を代弁したかのようでもある。

 これに大統領府が慌てた。早速、文在寅大統領自身が火消しに出て、「在韓米軍は韓米同盟の問題で、平和協定締結とは関係がない」とし、政権ナンバー2の任鍾★大統領秘書室長も「大統領の考えと違った発言で混乱を起こすな」と警告した。

 文教授の“舌禍”はこれだけではない。昨年6月にも「北朝鮮が核・ミサイル挑発を中断すれば、韓米軍事訓練と米軍戦略資産展開を縮小することができる」と発言した。すかさず鄭義溶国家安保室長が、「米韓関係のためにならない」とたしなめている。

 それでも野党は文教授の発言を「大統領府と共感の下で、文在寅大統領の胸の内を代弁しているのではないか」と疑念を隠さない。何しろ「文正仁特別補佐官の発言はいつも(後になって)現実化する」からだ。大統領の意を受け、観測気球を上げたのではと疑われても仕方がないのである。

 同誌は、「大統領特別補佐官が大統領の考えと違った発言を続けているのに、解職もせずに放置するのは納得しがたい」と疑義を投げ掛けるが、「一種の役割分担をしているのではないか」とも見ており、追及する野党もお手上げの状態だ。

 今後も文正仁補佐官の発言は、政権の本音を伝える予言となっていくのかどうか、注目だ。

★=析の下に日

 編集委員 岩崎 哲