パリの米国人
地球だより
パリには世界中からたくさんの観光客が来ているが、最近、友人が経営するレストランでの夕食時に米国人親子に出会った。40代の男性と彼の母親が隣のテーブルで食事をしていた。米国人は彼らの醸し出す雰囲気ですぐに米国人だと分かる。
それに彼らの食事の仕方が、あまりにもフランスとは懸け離れていることに驚かされる。フランスのレストランの夕食では、食前酒、前菜から始まり、メーンの料理、サラダやチーズ、最後にデザートというのが一般的だ。
最初、彼らは食前酒は何にするか聞かれ、シャンパンを頼んだ。これは普通と言える。ところが前菜が来ると同時にコーヒーをオーダーしたのに驚かされた。フランスでは食後以外にコーヒーや紅茶を飲むことはあり得ない。
ところが持ってきたコーヒーが、その米国人親子には濃過ぎるらしく、いきなり隣に置いてあったシャンパンをコーヒーに注ぎ足した。米国人全てがそうするとは思えないが、あっけにとられて見ていた。さらに出てきたメーンの肉料理の味が気に入らないらしく、ケチャップを持ってくるように要求した。
メーン料理のさなかにも2杯目のコーヒーをオーダーし、やはりシャンパンを注いで飲んでいた。
隣のテーブルだったこともあり、どこから来たのか聞いてみた。すると「オクラホマシティーから」という答えだった。親孝行な息子が70歳になった母親にパリ旅行をプレゼントしたそうだ。ところが母親いわく「どこに行っても食べ物が合わず、結局、ハンバーガーショップに行くことが多いのよ」とのことだった。
友人のレストランのオーナーに聞くと「うちは世界中から客が食べに来るので慣れっこだけど、米国人と中国人は特に自分たちの食習慣を曲げるつもりがなく、時々、トラブルになることもある」という。それに両者に共通しているのは態度が大きいことだ。これはフランス人には受け入れ難いことのようだ。
(M)