米中東政策への不信 アフガン、イラクでテロ拡大
ロシアのシリア内戦介入アルアハラム財団事務局長 モハメド・F・ファラハト氏に聞く(3)
――エジプトは米国から大量の軍事支援を受けている。もしエジプト政府がロシアとより接近した場合、米国は関係を切る可能性はあるのではないか。
米国とエジプトの関係は、両国間だけの戦略的関係ではなく、イスラエルとの関係もあり、この地域の安定を保つためのものだ。だから私は米国がエジプトと関係を断絶するとは思わない。米国とエジプトはゼロサムゲームにはならないし、ロシアと米国も、ゼロサムゲームにはならないからだ。米国はエジプトを失ってはならないことを良く理解していると思う。
――米国が失敗した最も重要な原因は何か。オバマ政権は、将来の中東ビジョンの中心に、ムスリム同胞団とトルコを据えたのでは?
それは失敗の一つで、 米国は多くで失敗した。彼らは中東で大きな政治的目標を宣言したが全て失敗した。9・11後、米国は、中東の失敗国家の主要な原因はテロリズムで、アフガンは、タリバンとアルカイダに護られた国家だと見なした。従ってこの失敗国家を再建するためにテロと戦うことが効果的だと考えた。しかし、米国は、テロとの戦いで成功しなかった。テロリズムはまだ拡大している。
第2は、米国は、他のアラブ社会の人々に米国を信じさせることができなかった。米国人は、民主主義を支持し、宣伝し、中東においてプロジェクトを展開し、NGO活動を展開したが、それらは全て中東を民主主義に導くことには貢献しなかった。(アラブの春、民主)革命を通しても、この地域は何も変わらなかった。中東の民主化を支持する米国人の議論は、アラブの普通の人々の理解によると、正しくなかった。アラブ人は米国の、アフガンとイラクでの失敗を見てきているので、信じることができないでいるのだ。
第3は、歴史的な失敗だが、米国はパレスチナ人の権利を支持したが実際は何も起こらなかった。
――エジプトが、ロシアのシリア内戦介入を支持した理由の一つに、シリア内のムスリム同胞団を追放し得るという思惑もあると思うがどうか。
それは理由のうちの一つだ。シリアのムスリム同胞団はエジプトでとった戦略と同じ戦略をとろうとしている。エジプトでのムスリム同胞団の戦略は、ムバラク政権が崩壊すると見て、ムバラク政権に対する革命を支持し、その後、革命に参加する許可を米国から得て、参加し、議会選や大統領選で成功した。
それと同じ戦略を彼らはシリアで適用しようとした。アサド政権はムバラク政権と同じタイプと考え、同胞団戦略は他の国でも通用できると考えたからだ。エジプトは、シリアがムスリム同胞団国家になることを望まない。なぜなら彼らがシリアを支配すれば、彼らはより強大になるからだ。
(聞き手=カイロ・鈴木眞吉)











