スポーツカーにもエコ時代が到来


高級車主力の欧州メーカー、生産を本格化

スポーツカーにもエコ時代が到来

ポルシェの量産PHV「918スパイダー」。燃費はガソリン1リットル当たり33キロとトヨタの「プリウス」並み=2013年9月撮影、フランクフルト国際自動車ショー(時事)

 高級車を主力とする欧州メーカーがハイブリッド(HV)スポーツカーの生産に本腰を入れ始めた。走りの良さを最優先に追求してきたスポーツカーの分野にも環境重視の時代が到来しつつある。

 独BMWは2014年に、同社初の量産型プラグインハイブリッド(PHV)スポーツカー「i8」を発売する。i8は最高時速250キロの性能を確保しつつ、ガソリン1リットル当たりの走行可能距離が40キロとトヨタ自動車の「プリウス」を超える低燃費を実現した。

 独ポルシェは既にPHV「918スパイダー」の生産を開始、近く購入者に納車する予定だ。英マクラーレンと伊フェラーリは13年にHVスポーツカーの「P1」、「ラ・フェラーリ」をそれぞれ発売している。

 独自動車アナリスト、ユルゲン・ピーパー氏は「独メーカーは最近、燃費と走行性能を両立できるHVにも力を入れ始めた」と話す。

 ただ、もともと高額なスポーツカーがエコ仕様となることで、価格はさらに跳ね上がっている。P1、ラ・フェラーリ、918スパイダーは、スポーツカーの中でも特に高額な「スーパーカー」。これらはいずれも1億円前後と従来型スーパーカーと比べても数割高い。

 独メディアによると、販売台数を500台以下に絞ったP1、ラ・フェラーリは完売したが、918台と強気の生産台数を設定した918スパイダーは、12月半ば時点で売約済みは550台程度にとどまる。量産車のi8でさえ、約1900万円と、一般人には手が届かない高根の花だ。(フランクフルト時事)