春節商戦、中国人観光客らの「爆買い」に変化
家電の購入意欲は依然強い、リピーター増加で客単価は低下傾向
中華圏の春節(旧正月)の連休に合わせて来日している中国人観光客らによる「爆買い」に変化が見え始めた。家電などの購入意欲は依然強いものの、何度も来日するリピーターが増えていることもあって低価格商品の需要が増大し「客単価は下がる傾向にある」(羅怡文ラオックス社長)。最近の急激な円高進行で、客単価がさらに下がるとの警戒感も強まっている。
春節商戦中の免税品の売上高は、高島屋が前年比4割増、ビックカメラが3割増と、多くの小売業者で前年実績を上回っている。訪日外国人数は順調に伸びており、12日も東京・秋葉原では、家電などを両手に抱え、買い物を楽しむ中国人観光客らの姿が目立った。
ただ、羅社長は訪日客の最近の買い物動向について「高額な家電商品はある程度一巡した」と変化を指摘する。ビックカメラによると、従来は高級炊飯器が売れ筋だったが、最近は手持ち型の掃除機や美容家電が好調。人気の高いカメラでも「本体を既に持っており、レンズだけを買う客が出始めた」という。
ディスカウントストアのドン・キホーテも「これまではブランド品が中心だったが、今年は食品や化粧品などの日用品がよく売れる」と話す。
円高・人民元安の進行もあり、花王の沢田道隆社長は爆買いの先行きについて「このままのペースで伸びていくのは難しい」と指摘する。日本総合研究所の牧田健主席研究員は「訪日観光客の数がすぐに減ることはないが、消費額が減ることは避けられない」との見通しを示した。