リオ五輪開幕まで半年、治安対策を強化
過激派テロを警戒、治安要員は8万5千人
リオデジャネイロ五輪開幕を半年後に控え、ブラジルが治安対策を強化している。リオはもともと一般犯罪が多い上、昨年11月のパリ同時テロなどを踏まえ、「イスラム国」(IS)をはじめとした過激派のテロにも警戒を強める必要があるためだ。
ブラジルなど南米は、これまでイスラム過激派のテロとは縁遠かった。だが、フランス国際関係戦略研究所のボニファス所長は「テロリストは世論にインパクトを与えようと狙っており、(サッカーの)ワールドカップ(W杯)を別にすれば、五輪以上に目立つイベントはない」と警告する。パリ同時テロの3日後には、ISメンバーがツイッターで「ブラジルよ、次の標的はおまえだ」と投稿した。
五輪期間中、全世界からの選手団や報道陣、多数の観光客を守るために配置される治安要員は約8万5000人。2012年のロンドン五輪の2倍だ。ブラジル政府の治安部門責任者は「恒常的な警戒態勢にある。最悪のシナリオにも準備はできている」と語る。
ブラジル当局は、自転車レースのツール・ド・フランス、ボストン・マラソンのほか、ニューヨークでの国連総会などに約100人の警官を派遣し、大規模イベントでの警備に関し研修を積ませてきた。五輪期間中はリオと首都ブラジリアに、警察や軍など関係組織による調整センターも設営する。
さらに、多くの国の情報機関と治安関係の情報共有も進めている。ボニファス所長は「全ての国が(協力が)うまくいくことを望んでいる。(五輪競技での)国同士のライバル関係は脇に置いておこう」と強調した。(リオデジャネイロAFP時事)