バスケット女子、処分解除で恩返し果たす
3大会ぶりの五輪出場、得点力アップが課題
アテネ五輪以来3大会ぶりの五輪に出場する日本女子。紆余(うよ)曲折を経てつかんだリオデジャネイロへの切符。内海知秀監督は「目指すのはメダル。機動力を生かして世界に臨みたい」と決意を示している。
2014年11月。男子国内リーグの統合が進まず、日本協会は国際連盟から無期限資格停止処分を受け、五輪予選出場が危ぶまれた。そこで、サッカー界出身の川淵三郎氏を中心に改革を断行。新リーグ創設や協会運営の見直しに道筋をつけた。処分が全面解除されたのは、五輪予選となるアジア選手権を目前に控えた昨年8月だった。
失いかけた希望を取り戻した日本は強かった。アジア選手権で連戦連勝、決勝で地元中国に85-50の圧勝。「川淵会長や支えてくれた方への感謝の気持ちを、バスケットで返せたことがうれしい」と吉田亜沙美主将。米プロリーグで腕を磨くエースの渡嘉敷来夢は涙に暮れ、「重圧から解放された。何もできなかったら、何しに米国へ行ってるんだろうと」。ロンドン五輪最終予選に負傷で欠場した無念を晴らした。
今夏の大舞台で上位に食い込むには、これまで以上に攻守の切り替えの速さや外角シュートの精度が求められる。内海監督は「アジアのチーム相手よりは失点が10~15点増えると思う。75点は取らないと、なかなか勝機はない」と得点力アップが課題と指摘。間宮佑圭(いずれもJX-ENEOS)は吉田、渡嘉敷を含めて「3人がどれだけ粘れるか。どれだけチームを支えられるかがキーになる」と覚悟する。
日本女子の最高成績は1976年モントリオール五輪の5位。メダル獲得は容易ではないが、内海監督は「初めからハードルが低ければ、ステップアップできない」とにらむ。「もっとバスケットを盛り上げて、メジャースポーツにしていきたい」と吉田。苦難を乗り越え、歴史を塗り替えようとしている。