リオのカーニバル開幕、ジカ熱対策に当局奔走
サンバに合わせパンフ配布、貯水槽に熱帯魚放流も
ブラジルのリオデジャネイロで5日、カーニバルが開幕した。南米最大の真夏の祭典には、国内外から約100万人の観光客が訪れると見込まれている。蚊が媒介する感染症ジカ熱が猛威を振るう中、リオ市はあの手この手で市民の安全と健康の確保に全力を挙げている。
「蚊をやっつけろ」。3日、リオ市内を走る電車に、一風変わったサンバの歌が響き渡った。にぎやかに太鼓やギターを演奏するのはオレンジ色の制服を着た市の清掃職員。同行した保健局の職員がリズムに合わせて乗客にパンフレットを渡し、蚊が生息する環境をなくすよう呼び掛けた。
市は「蚊の8割は家庭の周辺で発生する」と訴え、貯水槽や植木鉢、古タイヤに不要な水をためないよう市民の協力を要請している。ジカ熱には治療薬やワクチンはなく、市衛生局のデイザ・デモリ氏は沈静化に向けて「地道な対策を続けるしかない」と語る。
期間中は職員ら約3000人を投入し、カーニバル会場や周辺下水道などへの防虫剤散布を徹底。所有者不明の空き家に立ち入って蚊の生息環境がないか確認したり、蚊の幼虫ボウフラを食べる熱帯魚を貯水槽に放流したりするなど、なりふり構わぬ姿勢でジカ熱の拡大防止に取り組んでいる。
リオのカーニバルは9日早朝まで夜通しお祭り騒ぎが続く。パエス市長は開幕式で「対策は講じている。安心してカーニバルを楽しんでほしい」と語り、懸念払拭(ふっしょく)に努めた。(リオデジャネイロ時事)