新潟県南魚沼市、キャラで町おこし構想が苦戦
大河ブーム去り温度差、ガンダム作家の武将像お蔵入り
2009年放送のNHK大河ドラマ「天地人」の主人公直江兼続の生誕地、新潟県南魚沼市。市民有志が進める戦国武将の漫画キャラクターを活用した町おこしの構想が、壁に突き当たっている。有名作家から協力を得たものの、市民の温度差でお蔵入りになった幻の企画がある。
人気アニメ「機動戦士ガンダム」の登場人物とロボットのデザインを手掛けた安彦良和氏と大河原邦男氏が描いた兼続像の原画と野球場のラフスケッチが市役所の棚でひっそりと眠る。像は駅前に建立、ガンダムに登場する戦艦ホワイトベースを模した球場は市運動公園に造る目算だったが、いずれも実現していない。
5年前に企画した市民有志のリーダー目黒哲也さん(47)は「大河の次の手を考え動いていた」と話す。しかし、「大河は終わったのにいつまでやっている」「偉人を漫画にするとは何事か」との批判が、高齢者を中心に多く寄せられた。市が予算を付け、10~11年に上杉謙信らの武将像5体を設置すると反対の声がピークに達し、構想は白紙となった。
目黒さんらはアニメやゲームの制作会社、有名作家らを飛び込みで訪ね、観光客誘致への協力を依頼。兼続が登場する漫画「花の慶次」を描いた原哲夫氏に一度は断られたが、「ゆかりの観光地が多い上越や米沢に情熱では負けない」と手紙を書き、姿勢に打たれた原氏が武将の絵を提供した。目黒さんらが企画したイベントには43万人が来場。約1億円の収益を上げ、市に寄付する大成功を収めた。
14年2月には、アニメ作品で兼続と慶次を演じる男性声優を招待。有志の副代表南雲勇路さん(46)は「北海道から九州まで500人以上の女性ファンが集まった」と胸を張る。
有志らは「コンテンツの持つ集客力」を信じ、兼続像の実現に向け地道な活動を続けている。地方創生の機運や外国人観光客のインバウンドもあり、目黒さんは「クールジャパンで海外の人にも興味を持ってもらえる」と話す。