鳥取でKDDIが観光タクシーに翻訳システム
言葉の壁越え外国人案内、利便性を調べる実証実験
KDDIは、鳥取市内で外国人観光客向けのタクシーに翻訳システムを取り付け、その利便性を調べる実証実験を始めた。利用した観光客と運転手へのアンケートなどを行い、実用化に向けた研究開発に生かす。
実証実験は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、総務省がKDDIなどに委託している多言語音声翻訳技術の研究開発事業の一環。外国人観光客の案内に力を入れている鳥取ハイヤー共同組合の協力を得て11月18日から始めた。
翻訳システムは、運転席と後部座席に各1台設置されたスマートフォンを介し、英語、中国語、韓国語を日本語に訳す仕組み。後部座席に座った外国人が、スマホのボタンを押して話し掛けると、翻訳された日本語が車内のスピーカーから流れる。同様に運転手の声も外国語に音声で翻訳される。
システムの辞書には鳥取市の地名や観光にちなんだ約2000語が登録されている。スマホの全地球測位システム(GPS)機能を利用して、地名の翻訳精度を高めるという。
システムが搭載されているのは、外国人観光客向けに1人当たり3時間1000円で市内の観光地を案内する「1000円タクシー」。鳥取ハイヤー共同組合が県や市の支援を受けて運行しているもので、「鳥取観光マイスター」の資格を取得した運転手が乗車している。
翻訳システムを搭載し、これまで3組の外国人観光客を乗せたというタクシー運転手西尾昭さん(59)は「お客さんの細かい要望も伝えてもらうことができる」と話している。実証実験は16年3月末までの予定。