高校ラグビー、「伏見工」花園へ最後の挑戦
全国優勝4度を誇る強豪、最後の大舞台へ特別な思い
特別な思いを込めて、聖地「花園」で頂点に挑む。第95回全国高校ラグビー大会(27日開幕、大阪・花園ラグビー場)の京都府代表で、3大会ぶりに出場する伏見工。同校はテレビドラマ「スクール・ウォーズ」のモデルとして知られる。全国優勝4度を誇る強豪は来年4月に同じ市立校の洛陽工と統合・再編され、「京都工学院」の校名で生まれ変わる。3学年そろった伏見工としては最後の大舞台となる。
京都市教育委員会によると、今の1、2年生は伏見工の生徒のまま卒業。洛陽工にラグビー部はなく、来年度は京都工学院の新入生が登録メンバー入りすれば「伏見工・京都工学院」に、そうでなければ2、3年生だけの伏見工で大会に臨む。
校名が直ちに消えるのではない。それでも、今年度の部員は「花園へラストチャレンジ」の意識を高めた。1980年度に初めて全国制覇したチームの主力で、前監督の高崎利明ゼネラルマネジャーは「今季は『プライド』をテーマとした」。
しかし、壁が立ちはだかる。5月の府高校総体決勝で昨季全国大会4強の京都成章に5-59と大敗した。「メンタル面のコントロールができなかった」と佐々木輝主将。その後は練習中から、ゲーム形式でささいな反則でもシンビン(一時的退出)とし「1人少なくても落ち着いてプレーする姿勢を養った」。9月には大学王者の帝京大と合同合宿して「(気持ちの)切り替えを学んだ」と言う。
迎えた11月15日の全国大会府予選決勝で京都成章に雪辱。ノーサイドまで数分間続いたピンチをしのぎ、7-5で勝った。初優勝時の熱血監督で「泣き虫先生」と言われた山口良治総監督は、「奇跡が起こらないと勝てないと思っていた」と目を潤ませて感激。伏見工にとって節目となる花園に向け、佐々木主将は「V5を目指す」と力を込めた。