ノーベル医学生理学賞の大村さん、一夜明け実感


「人のためにと思ってやってきたことが認めてもらえた」

ノーベル医学生理学賞の大村さん、一夜明け実感

訪問したアフリカ・ガーナで、子供たちに囲まれ笑顔を見せる大村智・北里大特別栄誉教授=2004年(学校法人北里研究所提供)

ノーベル医学生理学賞の大村さん、一夜明け実感

大村智さんが年始に研究の目標を書いて配った色紙と、寄生虫薬「イベルメクチン」を手にする弟子の研究者=6日午後、東京都港区の北里生命科学研究所

ノーベル医学生理学賞の大村さん、一夜明け実感

大村智さんが館長を務める韮崎大村美術館で、絵画を鑑賞する人たち=6日、山梨県韮崎市

 ノーベル医学生理学賞に選ばれた北里大特別栄誉教授の大村智さん(80)は受賞決定から一夜明けた6日朝、東京都世田谷区の自宅前で取材に応じた。「ノーベル賞をもらうため仕事をしていたわけじゃないが、少しでも人のためにと思ってやってきた。そういうことが認めてもらえた喜びはある」と栄誉をかみしめた。

 帰宅したのは6日午前0時ごろ。薬を飲んで午前1時半に床に就いたが、ほとんど眠れなかった。「これから何があるんだろう」「記者の質問にどう答えよう」と考えていたという。

 受賞決定が伝えられた5日夜はただ驚いていたが、早朝に新聞を取りに玄関から出ると、多数の報道陣が待ち構えていた。「こんなに人が集まるのか」と実感が湧いたという。

 5日は夜中も電話が鳴りやまず、朝からお祝いの花や段ボール2箱分の電報などが続々と届けられた。「本当にうれしい。まだ誰から届いたのかも見られていない」と笑顔で話した。

 今後の目標を問われると、「まずは81歳まで生きること」とおどけた。その上で「今までやってきたことを、しっかりやっていきたい。郷里の山梨県のためにできること、地方再生は教育による人材育成からだ」と語った。

 財布の中にはいつも、亡き妻文子さんの写真と土を採取する小さな袋をお守り代わりに入れている。写真も袋も、12月に授賞式が開かれるスウェーデンに持って行くという。