ノーベル物理学賞の梶田さん「知の地平線拡大」
ニュートリノの質量確認、故戸塚さんの功績たたえる
この世界は何でできているのか。宇宙を飛び回る小さな素粒子「ニュートリノ」を調べ、謎に迫った梶田隆章・東京大宇宙線研究所長(56)に6日、ノーベル物理学賞の知らせが届いた。「頭が真っ白」と笑顔を見せつつ、亡くなった先輩研究者をたたえた梶田さん。前日の医学生理学賞に続く快挙に、各地で祝福の声が上がった。
「頭の中が真っ白な状態」。午後8時半すぎ、東京都文京区の東京大本郷キャンパスで始まった記者会見。カメラのフラッシュが続く中、梶田さんは戸惑いながらも笑顔を見せ、ニュートリノ研究を「人類の知の地平線を拡大するような分野」と表現した。
黒っぽいスーツに水色のネクタイを着けた梶田さんは、安倍晋三首相からの電話を受けながら会見場に現れた。「何を話していいか分からない状況」と戸惑いつつ、妻に受賞を報告したと明かした。
ニュートリノの質量を捉えた観測装置「スーパーカミオカンデ」では、故戸塚洋二・元高エネルギー加速器研究機構長と苦労を共にした。梶田さんは、戸塚さんが共同受賞者にふさわしいと高く評価。「戸塚先生のお力があったので(スーパーカミオカンデを)建設できた。功績は大きい」とたたえた。
一番苦しかった出来事を問われると、2001年にスーパーカミオカンデで起きた事故を挙げ、「本当にショックを受けた」と明かした。そのときも、戸塚さんのリーダーシップで乗り越えたと振り返った。
ニュートリノの観測で02年に同じ物理学賞を受賞した小柴昌俊・東大特別栄誉教授(89)の名も挙げ、「お二人とも私が大学に入ったときから導いてくれたし、実際にカミオカンデの実験に参加する機会が与えられた」と感謝した。
「われわれの住む宇宙は、まだ分からないことがたくさんある。たくさんの人が長い年月をかけて解き明かしていくので、若い人にぜひ参加してもらいたい」とメッセージを送った。