「復興牧場」が福島市で完成、落成式を開く


原発事故避難の酪農家が出荷再開

「復興牧場」が福島市で完成、落成式を開く

原発事故で休業した福島県の酪農家による「復興牧場」が完成し、場内を案内する田中一正さん=25日、福島市

 東京電力福島第1原発事故の避難で休業に追い込まれた福島県の酪農家5人による「復興牧場」が25日、福島市で完成し、落成式が開かれた。乳牛580頭を飼育する大規模経営で、年内にも出荷を始める。国と県酪農業協同組合の全面支援を受け、休業や風評被害で落ち込んだ県内酪農が再起する足掛かりとして期待されている。

 牧場は、南相馬市、浪江町、飯舘村の酪農家5人で設立した会社「フェリスラテ」が、従業員を雇い運営する。飯舘村の田中一正さん(44)が社長に就いた。3・6ヘクタールの敷地で、乳牛をコンピューター管理しながら年間5000トンの生乳生産を目指す。

 田中さんは落成式で「この道を選んだのは、福島の酪農の復興を成し遂げるという使命感から。牧場が軌道に乗り、酪農仲間に元気を出してもらえれば、これほどの喜びはない」と話した。

 原発事故の避難では、酪農家76戸が休業を余儀なくされ、再開はわずか13戸。県全域でも、生乳の生産量は事故前より2割程度落ち込んだままで、事故後は約8万トン前後で推移している。

 復興牧場は、国と県の補助を受けた県酪農業協同組合が整備し、貸主となっている。