ウズベキスタンに日本人抑留者の資料館
冷蔵庫修理で起業の男性、私財で膨大な写真や資料を展示
中央アジアのウズベキスタンで、第2次大戦後「シベリア抑留」で送り込まれた日本人抑留者の資料館を個人で守っている男性がいる。私財を投じ首都タシケント市内の民家を改装。ソ連が崩壊した1991年から独力で集めてきた膨大な写真や資料を展示している.
男性はタシケント市在住のジャリル・スルタノフさん(70)。資料館で9日、邦人記者団の取材に応じた。子供のころ、友人の父親から日本人抑留者の勤勉さを聞かされ強い関心を抱いたが、「ソ連時代は『(タシケント中心部にある)ナボイ劇場を造ったのは日本人だ』と公言できなかった」と当時を振り返った.
ソ連時代、スルタノフさんは冷蔵庫を修理する技師だった。その経験を生かし、ソ連崩壊に伴い冷蔵庫の輸入や修理を行う会社を立ち上げた。ソ連時代に比べ格段に調査の環境は自由になり、会社の営業の傍ら、抑留者の記録を求めウズベク各地を走り回ってきた.
起業の成功を受け98年に設立した資料館には、抑留者が造った水力発電所、トンネルといったインフラから、揺り籠、スプーンなどの生活用品まで展示、紹介している。2003年には抑留者に関する記録映画も自ら作成した。「タシケント市内にはまだ知られていない抑留者の建築物がある」と語るスルタノフさんは、さらに秘史を掘り起こし、2作目の記録映画に挑んでいる。(タシケント時事)