ジェフリー・ハーベイ教授「20世紀の巨人失った」
南部氏死去で米シカゴ大、追悼文をホームページに掲載
ノーベル物理学賞を2008年に受賞した南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授(94)の死去を受け、シカゴ大は17日付で追悼文をホームページに掲載した。同じ素粒子物理学分野のジェフリー・ハーベイ教授は「20世紀の理論物理学の巨人の一人を失った。南部氏が築いた科学の基礎により、今後数十年間の研究の方向が定められた」と悼んだ。
ロバート・ジマー学長は「南部氏の理論物理学研究の遺産は世界の研究者に何世代にもわたって深い影響を及ぼした。南部氏は寛大で人間味があり、模範だった。本学での歴史的な知的貢献に感謝する」としている。
南部氏は大阪市立大教授から米プリンストン高等研究所を経て1954年にシカゴ大に移り、56年に准教授、58年に教授に就任。超低温で電気抵抗がなくなる超伝導現象の研究を通じ、物質が質量を持つ仕組みを説明する「自発的対称性の破れ」の理論を60年ごろに発表した。
追悼文によると、南部氏はかつて、シカゴ大に移ったのはノーベル物理学賞受賞者のエンリコ・フェルミ氏ら多くの偉大な物理学者がいたためだと語ったという。